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『ミュージカル刀剣乱舞』俳優 崎山つばさ、歌手としても飛躍へ 舞台とリンクするエンタメ力を読む

2018年09月13日 20:12  リアルサウンド

リアルサウンド

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 崎山つばさが9月11日、3rdシングル『Crescent Moon』のリリースイベントを池袋サンシャインシティ噴水広場で行った。


参考:ジェジュン、“ロック”なシンガーとしての魅力 バラエティとのギャップもポイントに


 舞台俳優として芸能活動をスタートし、代表作『ミュージカル刀剣乱舞』(石切丸役)をはじめ、『煉獄に笑う』(曇芭恋役)や『御茶ノ水ロック』(逢坂翔平<SHO>役)といったミュージカルで絶大な人気を誇る崎山つばさ。和楽器集団・桜menとコラボし、崎山つばさ with 桜men名義のメジャーデビューシングル『月花夜』(2017年11月1日発売)で本格的にアーティスト活動をスタートし、デビューシングルでいきなりオリコン週間シングルランキング4位を獲得。続く2ndシングル『螺旋』(2018年5月2日発売)でも同ランキング9位にランクインした。舞台のみならず、アーティストとしても頭角を表す崎山が、満を持してソロ名義のシングル『Crescent Moon』を9月12日にリリースした。


 近年では、佐藤流司、伊万里 有、植田圭輔など、2.5次元ミュージカルの人気俳優が歌手デビューすることも少なくない。演技、ダンス、歌唱、作品によっては殺陣など、総合的なエンターテインメント力を求められるミュージカル俳優。その第一線で活躍する俳優たちが、さらなる飛躍の場として歌手活動を選択するのは自然な流れだと言えるだろう。踊って良し、歌って良し、さらに舞台俳優として多くのファンを抱える2.5次元俳優は、音楽シーンにおいても新たなブームの火種となるポテンシャルを備えており、例に漏れず崎山も過去2作ともしっかりと実績を残している。


 ミュージカルの土壌で培われた高いエンタメ力を備えている崎山つばさ。実際、8月26日にオープニングアクトとして『a-nation 2018 supported by dTV & dTVチャンネル』(東京公演)に出演した時は、桜menの和楽器サウンドをバックに堂々とした歌声を披露すると同時に、模造刀を使用した迫真の殺陣も披露。三浦大知、Red Velvet、浜崎あゆみら名だたるアーティストが出演する中、約4万人キャパの会場で崎山ならではのパフォーマンスでしっかりと爪痕を残した。舞台で培われたものが音楽活動の武器となるように、音楽+αで勝負できるのは崎山ならではの強みになっていくはずだ。


 ソロ名義でリリースした今作は、ある意味、崎山つばさ自身のデビューシングルとも言えるだろう。これまでのリリース作品は、和楽器をフィーチャーした和ロックの趣が強かったが、『Crescent Moon』では和テイストを封印。ロック路線に思い切り梶を切った「Crescent Moon」と、泣き曲とも言えるミディアムバラード「キンモクセイ」。どちらも“歌手・崎山つばさ”の新しい一面を見せた楽曲と言えるし、今後のライブ活動においてもオーディエンスを盛り上げる重要な作品となっていく予感がする。


 今回のリリースイベントで崎山は、「Crescent Moon」「キンモクセイ」「螺旋(ロックver)」の3曲を披露した。恋愛ゲームアプリ『イケメンヴァンパイア』の1周年テーマソングとなっている「Crescent Moon」。ニコニコ動画を中心にベースの“弾いてみた”動画で話題を呼んだティッシュ姫こと、こくまろみるくが作曲し、彼が参加するバンドBabyDollSymphonyのボーカル・りのが作詞を担当している。〈このまま君を 抱き寄せたなら 欲望隠さず 噛み付いて〉〈罪の唇 塞ごうか どうか俺に捧げて〉というゲームの世界観とリンクする刺激的な歌詞と崎山の甘い歌声で聴き手を誘惑するかのようなパフォーマンスだった。一方、崎山が出演した舞台『クジラの子らは砂上に歌う』の音楽を担当したYuが手掛ける「キンモクセイ」は、夏が終わりを迎える少し寂しげな情景と幼少期の記憶を辿るノスタルジックな空気感が重なり合うような楽曲だ。そんな対極にある楽曲をそれぞれ丁寧に歌い上げると、会場からは大きな歓声と拍手が起きた。


 崎山つばさ with 桜menでは『刀剣乱舞』でのパブリックイメージを踏襲した世界観を展開し、今回の『Crescent Moon』はロックバンドをテーマにした舞台『御茶ノ水ロック』を彷彿とさせる。『a-nation』の剣舞もそうだが、舞台活動と音楽活動がリンクすることはファンにとっても嬉しいポイントと言える。イベントのMCでは崎山が「“SHO”を降ろしますね」と言い、役を憑依させるそぶりを見せてから「お前らやれるのかー!」と客を煽り、黄色い歓声が飛ぶ一幕もあった。舞台俳優と歌手を行き来する柔軟性、それをさらりと実行するファンへのサービス精神も、崎山が愛される理由のひとつなのかもしれない。


 崎山は、今年の12月25日、クリスマスにZepp DiverCity TOKYOで初のワンマンライブを予定している。デビューから約1年の集大成を見せるステージなだけに、本人の気合はもちろん、ファンの期待も大きいはず。今回のMCで剣舞を披露することは決定? したようだが、曲のバリエーションも増えた崎山は一体どんなステージをみせてくれるのだろうか。いずれにせよ、初ワンマンでアーティストとしての真価が問われることになるだろう。(泉夏音)