中島京子の小説『長いお別れ』が実写映画化され、2019年に全国で公開される。
『長いお別れ』は、2010年に『小さいおうち』で『第143回直木三十五賞』を受賞した中島京子が、認知症によって言葉を失っていく自身の父親と過ごした日々の実体験をもとに綴った作品。『第10回中央公論文芸賞』『第5回日本医療小説大賞』を受賞している。
映画版の監督を務めるのは、『湯を沸かすほどの熱い愛』の中野量太監督。これまでオリジナル脚本で制作を続けてきた中野が「オリジナル脚本へのこだわりを簡単に捨てられた」と語るほど原作に惚れ込み、初めて小説の映画化に挑む。劇中では認知症によって「父」でも「夫」でもなくなっていく元中学校校長の昇平と、家族に対して愛情を絶やさない母・曜子、人生の様々な岐路に立たされる娘の芙美と麻里の7年間の日々を描く。
中野監督は原作について「この本を読んだ時、オリジナル脚本へのこだわりを簡単に捨てられました。それくらい撮ってみたいと思えたし、僕の頭の中で面白くなる想像が、どんどん膨らみました」と明かしているほか、映画については「認知症を扱った映画としては、今まで観たこともない作品になると思います。ずっと家族を映画で描いてきた僕の、また一歩進化した最高傑作を目指します」とコメント。
原作者の中島京子は「認知症と聞くと、年老いた親が壊れていってしまうと身構える方が多いと思うのですが、発症してからが長いこの病気と向き合う時間は、ただつらいだけの日々ではなく、涙もあれば笑いもあります。家族にとっての大事な『別れの時間』だと、私は思っています。映画の中で、素晴らしい俳優さんたちが、どんなふうに演じてくださるのか、いまからとても楽しみにしています」と期待を寄せている。
撮影は8月末にクランクインし、9月でクランクアップ予定。キャストは後日発表される。同作はテレビ東京開局55周年記念作品として公開される。
■中野量太監督のコメント
『長いお別れ』は、僕にとって初の原作を元にした映画になります。この本を読んだ時、オリジナル脚本へのこだわりを簡単に捨てられました。それくらい撮ってみたいと思えたし、僕の頭の中で面白くなる想像が、どんどん膨らみました。アルツハイマー型認知症を患った父を持つ家族の話なのに、何度も笑って、何度も優しい気持ちになって。僕が描きたい家族の映画がそこにありました。
納得の脚本に仕上がりました。そこに素晴らしい俳優陣が集まってくれました。認知症を扱った映画としては、今まで観たこともない作品になると思います。ずっと家族を映画で描いてきた僕の、また一歩進化した最高傑作を目指します。
■中島京子のコメント
『長いお別れ』は、認知症を患った父親とその家族を描いた物語です。認知症と聞くと、年老いた親が壊れていってしまうと身構える方が多いと思うのですが、発症してからが長いこの病気と向き合う時間は、ただつらいだけの日々ではなく、涙もあれば笑いもあります。家族にとっての大事な「別れの時間」だと、私は思っています。映画の中で、素晴らしい俳優さんたちが、どんなふうに演じてくださるのか、いまからとても楽しみにしています。