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永野芽郁が手にしたヒロインしての大きな“幅” 『半分、青い。』鈴愛役の成長を振り返る

2018年09月13日 06:51  リアルサウンド

リアルサウンド

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 放送も残り3週間をきってしまった『半分、青い。』(NHK)。永野芽郁演じるヒロイン・鈴愛は、初登場時は高校生だったが、やがて“アラフォー(の美魔女)”へ。弱冠18歳の永野の完走に大きな注目が集まる。


【写真】鈴愛の成長


 幼少期より、「天真爛漫」という言葉を絵に描いたような存在であった楡野鈴愛。演じていた子役の矢崎由紗からバトンタッチし、白いブラウスと笑顔がまぶしい女子高生姿で登場した永野は、以来、清々しい朝を日本中に提供し続けている。たしかにちょっと抜けたところのある彼女だけれど、漫画家としての奮闘や挫折、生活は豊かではないものの賑やかであった結婚生活、そういった紆余曲折を経て、いまや一児の母である。いつも自分のために行動を起こしては周囲の人々をあたふたとさせてきた彼女だが、娘・花野(山崎莉里那)のために再上京を決意。10代の永野は終始あどけない表情を見せながらも、母親としての顔までも演じてみせている。


 鈴愛自身の性格もそうだが、演じる永野のはつらつとした声と笑顔がどうにもクセになっているという方も多いのではないだろうか。本作で女優・永野芽郁の存在を認識した方も多いはずだが、SNSなどを覗いて見るかぎり、早くも“鈴愛ロス”が心配である。


 そんな永野は子役出身者だが、10代半ば頃からヒロインを演じる機会が徐々に増えており、これまでに様々なタイプのヒロイン像を見せてきた。昨年だけでも、田舎から東京の高校へとやってきた女子高生に扮し、担任教師とクラスメイトとの間で揺れ動く乙女心を演じ上げた『ひるなかの流星』や、人気若手俳優がこぞって名を連ねた『帝一の國』では、主人公の心の支えとなる紅一点のヒロインとして登場。思えば後者では、『半分、青い。』とはまた違う“糸電話”を使った恋模様を見せている。


 そして『ピーチガール』では、主役である山本美月演じる正ヒロインの“恋”を奪うためには手段を選ばない、“少女マンガ史上最悪の小悪魔”とも評される裏ヒロイン・柏木沙絵を好演。それは小悪魔というよりも手に負えないレベルの堂々たる悪女っぷりで、観ていて同情の余地すら感じられないほどのものであった。続く『ミックス。』でも、新垣結衣の恋敵を憎らしくもフレッシュに演じ上げている。テレビ作品で言えば、連ドラ初主演作となった『こえ恋』(2016/テレビ東京系)や『僕たちがやりました』(2017/カンテレ・フジテレビ系)などでヒロインとして健闘。作品を背負って立つ若手女優のひとりとして、ヒロイン的センスを十分に磨いてきたのだろう。


 この『半分、青い。』では、それらの経験を活かしつつ、いくつもの高いハードルを越えてきている印象だ。鈴愛の高校時代のお相手・小林を演じる森優作にはじまり、ゆるふわ男子・朝井正人役の中村倫也、愛すべきダメンズ・森山涼次を演じる間宮祥太朗、そして、幼なじみの萩尾律に扮する佐藤健といった、それぞれタイプ違いの男子たちとの恋模様を演じている。それも演じる永野自身の実年齢を越え、そのどんどん先へと年齢を重ねながらだ。


 今もっとも気になるのは、やはり佐藤演じる律と鈴愛の関係の行く末。鈴愛として、演じる永野として、見事に有終の美を飾ることとなるのだろうか。今のところはまだ今後の出演映画の情報など出てはいない彼女だが、本作で、縦(年齢)も横(恋の相手のタイプ)も幅広くヒロイン像を体現できたことは、女優としての強力な武器となりそうだ。鈴愛の恋路の結末は、その大きな一歩となるだろう。


(折田侑駿)