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女子高生の異色な「生と愛」を繊細に描く映画が来春公開、場面写真も

2018年09月12日 17:21  CINRA.NET

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『歯まん』 ©2015「歯まん」
映画『歯まん』が2019年春に東京・アップリンク渋谷で公開される。

同作は、「生と性と愛」をテーマに据えたダークファンタジー。 初めてのセックスの最中に自身の局部で恋人の性器を食いちぎり、殺害してしまった女子高生の遥香が、不安と孤独に蝕まれる日々の中で、ある男性に惹かれていく、というあらすじだ。

主人公の遥香役を馬場野々香、突然変化した遥香の局部に性器を食いちぎられる恋人・洋一役を中村無何有、遥香に思いを寄せる工員の裕介役を小島祐輔、裕介の姉・みどり役を水井真希、八百久のおやじ役を宇野祥平が演じる。監督と脚本を『歯まん』が初の長編作品となる岡部哲也が務めた。

同作は2015年の『ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015』オフシアター・コンペ部門で北海道知事賞を受賞したほか、同年の『シッチェス映画祭』ブリガドーン部門、『モントリオール世界映画祭』フォーカス・オン・ワールドシネマ部門に招待。今年7月から8月にかけて実施されたイベント『カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション 2018』で上映されている。

『歯まん』のオフィシャルサイトでは著名人によるコメントが公開中。これまでに公開されていた池松壮亮、石井裕也、塩田時敏のコメントに加えて、山下敦弘、篠原哲雄、豊島圭介、井口昇、冨手麻妙、木嶋のりこのコメントが公開された。

場面写真には、遥香が血しぶきを浴びて呆然とする様子や、ベッドの上で驚愕の表情を浮かべる洋一の姿などが写し出されている。またトレイラー映像では、遥香の「私は初めてのセックスで、人を殺した」という言葉や、遥香が八百久のおやじに「死にてえのかっつってんだよ!」と責められる場面、石井裕也、池松壮亮、映画評論家の塩田時敏のコメントなどが確認できる。

■山下敦弘のコメント
とにかく『歯まん』というタイトルで女が男性器を噛み切るストーリーにした岡部監督のあまりにもストレートで純度の高い志しに拍手をしたい。その志しに120%応えた主演の馬場野々香さんには花束を贈りたい。にしても宇野祥平っていう役者は変態を演らせると手に負えないということがわかりました。

■篠原哲雄のコメント
歯まん、って一体何だ?と思いながら、冒頭からエロスとタナトスが交錯する。ホラーかコメディかラブストーリーか?と観ていたら、愛とセックスどっちを選ぶなんて究極のチョイスを主人公に迫っているではないか!面白いぞ、岡部。快楽に溺れる男の危うさをつくなんて。

■豊島圭介のコメント
「ソフトボーイ」で助監督してくれた岡部が映画を撮った!しかもタイトルが「歯まん」!一見グロな題材で究極の愛をテーマにした作品だ。岡部、こんな映画を撮りたかったとは!びっくりした。

■井口昇のコメント
えっ!そんなタイトル付けちゃっていいの?女性が見たら泣けるロマンテイックな恋愛映画でもあるのに!でも×××がちゃんと×××××する映画だから仕方ないか!

■冨手麻妙のコメント
衝撃的な冒頭シーン。 きっとこれは復讐または嫉妬のどろついた話に違いないなんて思っていたら、どこまでも純粋なストーリーで度肝を抜かれました。 欲求のままに生きていられる私達にとって、主人公とその愛する人がどこまでも辛く感じてしまう。もっと私達は、愛する事と性行為に対して有り難みを感じないといけないと思ってしまった。

■木嶋のりこのコメント
こんなにも切ない血しぶきを浴びる覚悟を持てる人が、今の世の中にどれほどいるだろうか。
優しくて狂ってて純粋で愛おしい。「愛する人と身体を重ねるということは、特別で尊い」ということを改めて感じさせられる作品。

■石井裕也のコメント
きっちり理不尽で横暴で、にも関わらず繊細でした。楽しめました。

■塩田時敏のコメント
私は初めてのセックスで人を殺した......。愛は狂気、愛は凶器!他者を究極まで愛する行為と、他者を極限まで辱しめる行為の表裏一体性を、猟奇的に問うた衝撃作は、ギドクの「メビウス」さえ想起する。愛する事は傷つける事。ヒロインはトラウマを乗り越えられるのか?映画「ら」の監督でもある水井真希が好助演。

■池松壮亮のコメント
理不尽で無責任な世の中に対し、歯まんという誰とも共有できない危うさを抱えてなお生きていく主人公の姿が、その時代その時代にある普遍的なものに見えて心ざわつきました。映像から岡部さんの優しさを感じました。

■馬場野々香のコメント
最初にお話をいただいたとき、初めての主演で尚且つ性を題材にした作品ということで「自分に出来るのか」という不安と葛藤がありました。ですが、実際に岡部監督とお会いしてこの作品への思いを聞き、一か八かぶつかってみようと。
愛と性、という人間にとって切り離すことのできないテーマを、ファンタジーとも言える設定の中でどれだけ生々しく生きられるかを考えました。
一つの愛の形を感じていただければと思います。

■岡部哲也監督のコメント
殺したいほど人を愛する。殺されても良いと思うほど人を愛する。命懸けで SEX する。そんな狂気のラブストーリー。
「歯まん」のプロットは学生時代に思いついた。SEX すると相手を殺してしまう体質。これほどのコンプレックスを持った人はなかなかいないだろう。しかし、ヴァギナ・デンタータという伝承が世界各地に神話や伝説として残っていることを知り驚いた。
映画の中で主人公が悩み、強く生きることによって、「自分のコンプレックスなど大した事ないな」と観る人の生きる希望になれば。