インテージは9月12日、魚介類缶詰市場の分析結果を発表した。魚介類缶詰市場は、直近1年の市場規模伸び率が前年比107%と、ここ10年で最大になっている。この成長を牽引しているのがサバ缶だ。
サバ缶は2017年に様々なテレビ番組で取り上げられて以降注目が高まっている。昨年12月にはマグロ油漬け缶、通称ツナ缶の販売額(17.5億円)を追い越し、19億円に達した。今年6月の販売額は20億円を超えている。
「健康意識の高いシニア世代のニーズに合致」
魚介類缶詰全体のユーザーは50%以上が40~60代の女性だが、サバ缶のユーザーは60代の男女が多いという特徴が見られた。この理由についてインテージは、
「サバ缶をはじめ青魚缶は、DHA・EPAを非常に多く含み、血行の流れを良くして動脈硬化を防いだり、肌の新陳代謝を促進したりする効果があると言われています。これらの点で、サバ缶などの青魚缶はまさに健康意識の高いシニア世代のニーズに合致しており、男女関わらず60代ユーザーが多くなっている理由になっていると考えられます」
と分析している。
1年間で何%の人がサバ缶を買ったのかを示す購入率を前年と比較すると、2017年7月~2018年6月までの購入率は、10代・20代が2.8%増、30代が4.6%増、40代5.4%、50代5%、60代6.6%増と、全ての層で増えていた。
缶詰そのままで食べる食べ方は前年より14%減少 ひと手間加えた食べ方が人気の兆し
同社は、東京・名古屋・大阪に在住する20代~60代の主婦を対象に、サバ缶を使ったメニューの食卓登場回数を聞いている。直近1年(2017年7月から2018年6月)で最も多かった登場スタイルは「缶詰そのまま」で46.1%だった。
しかし、前年(2016年7月から2017年6月)と比較すると缶詰そのままで出す割合は14.5ポイント減少し、前年は0%だった「温野菜サラダ」、「生野菜・野菜サラダ」がそれぞれ7.6%、9.4%と大きな伸びを見せている。ほかにも「味噌汁」(0.4ポイント増)、「からしあえ」(1ポイント増)など、缶詰にひと手間加えた食べ方が徐々に増加しているようだ。
メーカー側では、サバ缶人気を追い風に、定番の水煮やみそ煮以外にも「カレー煮」「トマト煮」「甘酢あんかけ」「ごま味噌風味」など多様な味付けの缶詰を出している。インテージは、今後のサバ缶市場について、
「各メーカーの積極的な商品展開や食べ方の多様化も相まって市場は広がりを見せており、今後も堅調に推移していくと思われます」
とコメントしている。