9月13~16日に行われるWRC世界ラリー選手権第10戦トルコに向けて、参戦するドライバーたちが意気込みを明かした。
2018年シーズンの第10戦となるラリー・トルコは、2010年以来にWRCカレンダー入りを果たしたイベントで、今年で通算7回目のWRC開催となる。イベントは地中海に面するトルコ南西部のマルマリスを中心としたグラベル(未舗装路)ラリーだ。
このマルマリスを中心としてWRCが行われるのは、2018年が初めてのこと。そのため全チーム、全ドライバーにとって新たな挑戦となり、開幕前のレッキ(下見走行)でどれだけ正確なペースノートを作れるかが重要となる。
競技は13日、現地9時30分(日本時間15時30分)ごろにシェイクダウンが行われ、同日20時8分(日本時間14日2時8分)に行われるSS1で開幕する。このSS1は2台が同時にステージを走行するスーパーSSとなっている。
翌14日から本格的なグラベルラリーがスタート。この日はSS2~SS7までの6SSで争われる。このうちSS2と、その再走となるSS5は38.1kmのロングステージだ。
競技3日目にあたる15日はSS8~13までの6SSで、最終日の16日はSS14~17の4SSで争われる。全17SSの合計距離は312.44km、リエゾン(移動区間)も含む総走行距離は875.34kmだ。
WRC最上位クラスに参戦するチームはすべて3台体制でエントリー。ヒュンダイはダニ・ソルドに代わりヘイデン・パッドンを起用するほか、シトロエンはカリッド-アル・カシミに3台目のシトロエンC3 WRCを託す。
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■Mスポーツ・フォード
●セバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)
「ラリー・トルコは予測のつかない戦いになるから、興味深いイベントになるだろう。ひさしぶりに登場したまったく新しいイベントだからね。(最後にWRCが行われた)2010年に走ったこともあるけど、当時とはまったく違うものになっている」
「(下見走行の)レッキではやるべきことが山積みだから、(コドライバーの)ジュリアン(イングラシア)は1キロごとにメモを取らなくてはならない。取り組まなくてはいけないことは多いけど、この挑戦を楽しみにしているし、どんなステージが待ち受けているか楽しみだ」
「僕たちの目標は可能な限り好成績を残すことだけど、ルーズグラベルがその目標達成の妨げになるだろう。僕たちは2番手出走で、より出走順が遅く、路面がよりクリーンな状態で走れるドライバーが後ろに控えているからね」
「金曜の午前はできるかぎり(トップに)近いところを維持するようトライしてその結果、どの順位につけられるかを見るつもりだ」
「なにより重要なのはチャンピオンの座を防衛するために、可能な限りポイントを獲得することだ」
●エルフィン・エバンス(フォード・フィエスタWRC)
「週末はまったく未知のラリーに足を踏み入れることになる。楽しみな週末になるだろう。トルコのSS(スペシャルステージ)がどんなものなのか、楽しみだ」
「暑さとも戦うことになるだろうから、それに備える必要がある。路面もルーズで滑りやすそうだ。もしそうなれば、僕たちの(遅い)出走順は有利に働く。ただラフコンディションにもなりかねないから、注意しなくちゃね」
「ギリシャにあるラフな道を使って事前テストを行った。フィエスタWRCはいつもどおりのパフォーマンスを発揮していたよ。このラリーに向けていろいろな準備が必要だったけど、そのハードワークも週末で終わりだ」
●テーム・スニネン(フォード・フィエスタWRC)
「今年行われるラリーのほとんどは僕にとって初挑戦のものだったけど、今回はどのドライバーにとっても初めての戦いになる。だから、興味深い状況になりそうだ。スタート前の経験値はみんなイコールだから、僕にもチャンスがあるかもしれない」
「トルコ国内でのテストは許されていないから、誰もがレッキで初めてトルコの道を走って、その後すぐにシェイクダウンを迎える」
「セットアップについてはチームメイトのフィードバックも聞くつもりだけど、自分たちの経験をもとに選択していくかもしれない」
■ヒュンダイ・モータースポーツ
●アンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイi20クーペWRC)
「2008年に僕はラリー・トルコに参戦したけど、そのときのイベントは今週とはまったく違うエリアでの開催だった。すべてのドライバーにとってまったく新しい経験になるから、間違いなく想定外のことが起こるだろう」
「僕たちが見た限りでは、ラフな路面で競うことになりそうだし、とても暑いコンディションになりそうだ」
「クルーにとっても、マシンやタイヤ、ブレーキにとってもタフだろう。全体的に新たな素晴らしいチャレンジになるから、楽しみにしているよ」
●ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)
「ラリー・トルコでは誰もが未知のコースに踏み出すことになる。ステージのことはよく分からないが、いくつかビデオ映像を見る機会があった。路面はとてもラフなようだ。出走順が1番だから難しい週末になると思う」
「新しいラリーや新たな挑戦は歓迎だよ。シリーズを新鮮なものにしてくれるし、チームやクルーはまったく新しい戦いへ挑むことになるからね」
「僕の目標はラリーを楽しみ、そしてもちろん選手権首位のポジションを維持するために、できる限りのことをすることだ」
●ヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20クーペWRC)
「WRCに戻るのが待ち遠しい。(最後に参戦した第8戦)フィンランドから長い時が経ったように感じる」
「トルコは誰にとっても予測のつかないラリーになることは確かだ。2010年にトルコでラリーに参戦したけれど、当時は違う地域での開催だった」
「だから週末、僕たちが遭遇するシチュエーションとは比較できない。ステージは曲がりくねっていてラフだし、とても暑くなりそうだ」
■シトロエン・レーシング
●クレイグ・ブリーン(シトロエンC3 WRC)
「目標は金曜午前中をミスなく走り切ることだ。もしそれができれば、上位につけられるはずだし、残りのSSでもいいポジションにつけられるだろう」
「主催者側からは市販車でステージを走行した様子の動画を得ているけど、この映像から正しい情報を得るのは難しい」
「ただ、ひとつ確かなことはSSが(走行して)面白そうだということ。道幅が狭かったり、テクニカルだったり、高速セクションもあったりとバラエティに富んでいそうだからね」
●マッズ・オストベルグ(シトロエンC3 WRC)
「今週末は暑くなりそうだ。技術的にも難しく、マシンにとっても厳しいラリーになるが、そのために僕たちは(フランス・)オードの事前テストで準備をしたんだ」
「自信を感じているよ。なぜなら僕はいつもこうした路面ではまずまずのパフォーマンスを発揮しているからね。それにC3 WRCは(フルグラベルイベントのラリー)サルディニアのときと比べて性能が上がっているし、ドライブしやすくなっている」
●カリッド-アル・カシミ(シトロエンC3 WRC)
「C3 WRCに戻れることをとても喜んでいる。特に新しいイベントでね。まったく新しいステージに初めて挑むのはいつだってエキサイティングだ。特にとても難しいコンディションになると予想しているしね」
「こうしたイベントでは僕はいつも落ち着いていられる。たとえばアクロポリス・ラリーにはいくつか良い思い出があるよ。プッシュすることと、マシンをいたわることの正しいバランスを見極めることが常に課題となる」
■トヨタ
●ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)
「完全に新しいWRCイベントに向けた準備は数年ぶりだ。新たにペースノートを作ったり、コースの特徴に対する知識が充分ではなかったり、同じステージを2度目に走る時に路面がどう変化するのかなど、未知なることばかりだ」
「私は2008年にアンタルヤ周辺で開催されたWRCトルコ大会に初めて出場したけど、非常に暑く、ロングステージはとてもハードで、タイヤに厳しいラリーだった」
「今回もそれと似たようなラリーになるのではと予想しているし、かつてWRCが開催されていたアクロポリス・ラリーにも似ているのではないかと思っている」
「事前テストはうまくいき、特にサスペンションに関して進化があったから、クルマにはとても満足している」
●オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)
「最近2戦のいい結果にはもちろん満足しているけど、それでも依然1戦、1戦が勝負だよ。ラリー・トルコに対するノウハウはあまりないから、どのようなラリーになるのか予想できない」
「荒れた路面での戦いになるだろうと言われているけど、実際どうなのかはレッキをすれば分かるだろう。ただし、気温がかなり上がるのは間違いないと思う」
「ポルトガル南部での事前テストはトルコに向けていい準備になったし、戦うために必要なことはすべてやったと思う。現時点でできることはあまりなく、後は自分達で実際にステージを確認するだけだ」
●エサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)
「トルコは予想外のラリーになると予想している。路面は荒れていて、滑りやすいルーズグラベルが多く、タイヤマネージメントが鍵を握るだろうというのが、我々が得ている情報だよ。だから、午後の距離が長い再走ステージが重要になるだろう」
「事前テストでは、気温が35度程度の荒れた路面を走るとタイヤの摩耗がかなり進むことが分かった。とはいえ、全体的にテストは非常にうまくいき、いいセッティングを見つけることができた」
「何か新しいことを学ぶチャンスだと思うから、チャレンジを楽しみにしている。今のところ、早い出走順でルーズグラベルで覆われた路面を走るのが私はあまり得意ではないから、それを改善したいと思っているよ」