体操の宮川紗江選手が速見元コーチから暴力を受けたとされる問題は、体操協会副会長のパワハラや引き抜き疑惑など、様々な広がりを見せている。体操協会は9月10日、第三者委員会の結論が出るまでの一時的な措置として、塚原光男副会長と千恵子強化本部長の職務停止を発表。騒動は未だ収束する気配を見せていない。
こうした中、元アスリートでタレントの武井壮さんは9月9日から10日にかけてツイッターを更新した。「最近のスポーツ団体の問題は暴力と権力問題」と指摘した上で、
「スポーツ指導に暴力を肯定? 人が人を殴るのは指導じゃなくただの暴行だ」
「スポーツ教えるくらいの事で大人が子供殴っていいわけねえだろう。よく考えろ本当に、街で大人が子供殴ったら即通報で逮捕だよ。それが『スポーツ教える』が乗っかったくらいでチャラどころか『素晴らしい指導』になる訳ねえだろう。スポーツやってたらなんかいい事してるみてえな空気で正当化するなよ」
と、スポーツ指導で暴力が容認される風潮に意義を唱えた。
「怒って殴って強くした時代を、正しく指導して強くなる変えていく時代」
武井さんは、スポーツ界での指導者からの暴力について、「教える側が反論や抵抗しにくい相手を殴るのは指導の名を盾にした虐待」だと主張する。さらにもし、指導中の暴力は問題でないと考える指導者や関係者がいるなら「その指導現場の動画を撮って公開したらいい。正しいと言うならできるはず」とけしかけた。
スポーツに限らず、勉強や芸事などでも、怒られたり殴られたりして伸びる人はいる、という見方は根強い。しかし、こうした発想は「(暴力で伸びる人が)いたとしても間違ってる」と指摘する。「スポーツは殴られて怒られてやらなきゃいけない義務なんかどこにもない」とも言い、
「スポーツしてなくたって素晴らしい人生が送れるし、怒って殴って強くした時代を正しくより強く指導して強くなる時代に変えていく時代なんだよ」
と、スポーツ指導からの暴力根絶を訴えている。
「誰からも敬愛される紳士的で最高で最強の文化を作ろうぜ!」
一連のツイートには「殴られて伸びる選手はきっと殴られなくても伸びますよね」「激しく同意」など、賛同のリプライが多くついていた。しかし、中には「一昔前なら普通」など、多少の暴力は選手のために仕方ないという意見もあった。
9月10日には、こうした声にうんざりしたのか語気を強め、
「『暴力もある指導法で成長した選手もたくさんいますよ』だと?ふざけた事抜かしたらあかん。 暴力を肯定してる全員に告ぐわ。 暴力無しで全国1位の成績残せる指導方法見つけてから来いこのタコ野郎が!暴力無しでそれができりゃ暴力なんか必要ねえだろうが!! 全国目指すに必要だ?甘えんじゃねえ!!」
と怒りを露わにしていた。連投の最後には、全国のスポーツ選手やコーチ、関係者らに向けて「とにかく駄目やからな! スポーツの世界から汚い物、恥ずべき蛮行を全部無くして誰からも敬愛される紳士的で最高で最強の文化を作ろうぜ!」と呼びかけていた。