WRC世界ラリー選手権で2度のワールドチャンピオンを獲得しているマーカス・グロンホルムが、2019年シーズンにTOYOTA GAZOO Racing WRTに加入し、1戦限りの復帰を果たす可能性があると報じられた。
グロンホルムは、自身が「もっとも好きなラリーのひとつ」と語る2月開催のラリー・スウェーデンへのスポット参戦を望んでおり、この目標を実現させるため今後数週間のうちにトヨタのチーム代表であるトミ・マキネンと話し合いを行うとみられている。
このグロンホルム復帰プランは2018年のラリー・スウェーデンでも実現目前だったと言われており、グロンホルム、チームの双方ともに2019年に向けてほぼ合意に達しているとされており、現在はグロンホルムが2010年以来の現役復帰を果たせるかが焦点となっているようだ。
このドリーム・プロジェクトについて問われたグロンホルムは、「僕は今年で50歳になったし、改めてこういうチャレンジをしてみるのも悪くないかもね」とコメント。さらに「(母国である)フィンランドはそんなに走りたい……とは思わないけど、どちらかと言えばスウェーデンの方がより楽しめると思っているんだ」とも語っている。
「フィンランドでは精密かつ寸分たがわぬジャンプを、すべてのステージ、すべてのクレスト(丘)越えで徹底する必要がある。でもスウェーデンなら素晴らしいドライビングのリズムが満喫できるし、よりラリーを楽しむことができるはずだ」
「今年のスウェーデンはたくさんの雪が降ったし、ドライブしていればとてもファンタスティックだっただろうね。そんなシチュエーションならスタートを切るのに完璧なステージになるだろうし、ゲームに戻るのもアリかもしれない」
この1回限りの復帰戦プランは、マキネン代表にとっては“タスクリスト”のトップにはないだろうとグロンホルム自身も考えているようだが、それでも「もし僕がもう一度スウェーデンに戻ってWRカーをドライブしたら? それはものすごく面白そうだと思わないか?」と、本人はプラン実現に前向きな姿勢を見せている。
またグロンホルムはすでに昨年のラリー・フィンランドでトヨタ・ヤリスWRCのデモンストレーションランを担当してマシンを経験しており、その際にはハルユのスペクテイターステージを走行し、現役ドライバーとそん色ないタイムを記録している。
「ハルユのステージは最高だった」と、その際の経験を振り返ったグロンホルム。
「たった5kmのステージをテストしただけだし、充分な練習もマシンへの習熟もない状態でドライブしたけど、そのときのベストタイムにほぼ近い、とても良い走りができたんだ」
「クレイジーに目一杯攻めたわけでもないから、タイムにはとても満足している。走りながら考えていたのは『トミにクルマを返すまで絶対にクラッシュだけはできないぞ』ということだけだったからね」
5回のラリー・スウェーデン優勝経験を持つグロンホルムのスポット起用に関して、マキネン代表も興味を認めつつ「それが実現するのを見てみたい」と、チームとしても前向きに検討を進めていることを明かした。
「2018年にこのプランが実現に至らなかったのは、単純に我々が忙しすぎたことが要因だ。それゆえマシンを用意する余裕がなかったんだ。でも19年に向けてはもう少し楽天的な見通しを持っている。マーカスとふたたび話し合い、彼のためのシャシーを用意できるはずだ」とマキネン。
「マーカスのようなドライバーがマシンのシートに座っているのを見るのは素敵だろう? 彼は今も非常に速い男だし、スウェーデンは彼が愛したラリーのひとつでもある。いくつかのテストを経れば、彼はラリーでとても高い競争力を発揮するだろう。とくに何度も勝利を飾っている得意なイベントだからね」
「それに昨年ハルユのステージで我々のテストカーをドライブした際、彼は本当に本当に速いタイムをマークしたんだ。それはほぼ本番のベストタイムに近いタイムだったし、忘れてはならないのは、彼がドライブしたマシンがテスト車であり、競技用のマキシマムパワーにセットされてはいなかった、という事実だ」
2000年、2002年にWRCのドライバーズタイトルを獲得したグロンホルムは、2007年を最後に現役を引退。その後、2010年にカスタマースペックのフォードをドライブして、ラリー・スウェーデンにスポット参戦している。