7度のF1ワールドチャンピオンであるミハエル・シューマッハーの長男で、今季はFIAヨーロピアンF3に参戦中のミック・シューマッハーが、9月7~9日にニュルブルクリンクで開催されているDTMドイツ・ツーリングカー選手権の金曜日、カメラドライブの時間枠内で、初めてDTMマシンであるメルセデスAMG C63 DTMをドライブした。
ミハエルの息子ミックは、ADAC F4を経て2017年にヨーロピアンF3にステップアップ。第15戦スパで初勝利を挙げると、その後2勝を飾り、現在ランキング2位につけている。そんなミックに、初めてのDTMドライブの機会が与えられた。
当日は、メルセデスドライバーのパスカル・ウェーレインがマシンに乗り込んだミックに親切丁寧にアドバイス。また、ITR e.V代表で、父ミハエルの友人でもあるゲルハルト・ベルガーや、シューマッハー親子のマネージャーを務めるザビーネ・ケーム、さらに多くの報道陣がミックの初DTMドライブを見守っていたこともあり、和やかな雰囲気ではあったものの、緊張の色を隠せないミックだった。
最初に数ラップを走った後にピットインし、タイヤ交換、そしてウェーレインや担当エンジニアとコメントを交わした後に再びコースイン。途中で雨が降り始めるも、時間が許す限りラップを重ねた。
マシンから降りたミックは、乗り込む前とは打って変わって和やかな笑顔をみせ「とても楽しかった! フォーミュラとブレーキングやハンドリングのタイミングが違って最初は戸惑ったけれど、ラップを重ねるごとに慣れてきて、ハイパワーのマシンを操る楽しみを実感したよ」と嬉しそうに語った。
この日のニュルは雨も降り、日中最高気温は15℃ほどで吐く息も白く、必ずしもDTMデビューには適切なコンディションではなかったももの、マシンを降りるとすぐにタイヤに手を当てて温度を確かめるなど、勉強熱心な姿が印象に残った。貴重な経験になったことをゲルハルト・ベルガーやITR、メルセデスAMGに感謝の言葉を述べていた。
今回のミックのDTMドライブに関しては、ミックのDTMキャリアに対するテストの意味合いがあるのではないかと多くの地元ドイツメディアが報道を加熱させ、ミック自身がその報道に対してFacebook上でそれを否定するコメントを前日に発表するという騒ぎにまでなった。
ただ実際はベルガーの提案で、かつて彼自身がそうだったように、若いF3ドライバーにもまったく別のカテゴリであるツーリングカーをドライブする機会を与え、経験の一部として欲しいとの考えで行われた今回のドライブ。マシンはミックのために特別なものが用意されたわけではなく、ふだんのレースウイークにゲストを乗せるレーシングタクシー用の車両が使用されている。