2018年09月08日 10:22 弁護士ドットコム
9月に入ってもなお、死者を出す深刻な自然災害が日本列島を襲っている。
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「今年最強」とされた台風21号は近畿地方などに甚大な被害をもたらし、関西国際空港は一時、機能停止を余儀なくされた。9月6日未明に発生した北海道地震は「震度7」で、道内は大規模な停電状態に。TVからは現場の惨状を伝える記者やアナウンサーの声が聞こえてくるが、彼ら自身の「安全」は大丈夫なのかーー。ネット上で話題になっている。
情報番組「直撃LIVE グッディ!」(フジテレビ系)で、猛威を振るった台風21号の様子を、大阪・道頓堀で9月4日に中継したフジテレビの三田友梨佳アナウンサーが「命の危険を感じる風を初めて経験した」と翌日の番組内で振り返ったことをデイリースポーツが伝えた。突風にあおられ、スタジオから「危ない」と声が出るほどの状態で中継映像も乱れたという。こうした中継に、ネットでは「公開パワハラ」との批判も出た。
一方、NHKが中継前に「安全な建物の中から中継しています」と前置きをしてから、記者らが現場のもようを伝える様子もネット上で話題に。8月29日放送の「マツコ&有吉 かりそめ天国」(テレビ朝日系)では、台風中継などでアナウンサーが現地で中継することについて、有吉弘行さんが疑問を語っていた。
台風などの中継をする現場はどう感じているか。ある在京キー局30代記者は、弁護士ドットコムニュースの取材に「時と場合にもよるが、外でやるべきだと思う。現場にいるからこそ感じられる状況や危機感があると思うから。何より時間の経過に伴う変化は現場でしかわからない。変化を伝えることで台風の接近を伝え、警戒を促すことにつながる」と話す。
それではNHKと日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京の民放各局は現場中継の際に、どのような安全対策を講じているのだろうか。弁護士ドットコムニュースでは3つの質問を9月5日午前中に出したところ、9月7日午後までに回答が出そろった。
以下の回答をみてどう感じるだろうか。被災者とともに、現場を伝える記者やアナウンサー、そしてスタッフの「安全」もしっかり守られてほしいと願うばかりだ。
【質問事項】
(1)貴局におかれて、今般の台風21号をはじめ、中継で風雨の様子をレポートする記者が負傷をしないよう、どのような安全対策を講じていますか。また、記者に対してはどういった注意喚起をしていますか。
(2)風雨の激しさによっては、安全に配慮して室内から中継するケースも見受けられます。貴局ではどういった基準で中継場所を中とするか外とするか判断していますか。
(3)これまでの台風取材で、中継する記者が負傷した事例が貴局にはありますか。
【回答】
<NHK>「NHKでは、取材に際して安全に十分に配慮して行っています。ご質問の台風の際のリポートに関しても、注意を呼び掛けるために行っているものですので、安全に十分に配慮しています。現場によって安全確保の具体的な方法は様々なため、一概には言えませんが、ヘルメットを着用したり、危険と判断した場合には、屋内から中継を行ったりする場合もあります」
<日テレ>「都度、状況に鑑み、安全に十分配慮をして、中継場所の選定や装備などは判断しています」
<TBS>「台風など災害取材にあたって、取材者の安全確保は最優先課題であり、その都度、現場の状況を見極めて慎重に判断しています。平時より、記者、カメラマンを対象に、災害取材の基礎知識や安全確保についての勉強会も行っています。今回の台風21号でも、風雨の強さや波の高さなど具体的な状況を踏まえ、室内からの中継に切り替えたケースがありました」
<フジテレビ>「場所の選定や装備など、キャスト・スタッフの安全を十分に確保しながら中継を行っております。同時に周囲の住民の方などに影響が及ばないよう注意もしております。これ以上の詳細については、取材手法に関することですので、回答を控えさせて頂きます」
<テレ朝>「台風の中継に限らず取材現場では、安全に注意するよう普段から徹底しています。状況に応じて、屋内から中継する場合もあります」
<テレビ東京>「従来より災害報道については規程を設けて対応しており、報道における取材記者の安全対策には万全を期しております」
(弁護士ドットコムニュース)