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目が離せない最終回に? 『チア☆ダン』土屋太鳳、怪我が原因で石井杏奈ら“Rockets”と衝突

2018年09月08日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 関西予選大会に入賞し、全国大会に出場する権利を得た福井西高校チアダンス部「Rockets」。全国大会まで40日となったタイミングで、わかば(土屋太鳳)は右脚に違和感を感じ、コーチでもある姉のあおい(新木優子)に付き添われて病院に。そこで言い渡されたのは靭帯が損傷してしまっているという衝撃の診断結果。たちまち全国大会に出場することが危うい状況に追い込まれてしまうのだ。


 部の創設から廃部の危機など様々なストーリーが展開してきたTBS系金曜ドラマ『チア☆ダン』。先週は中枢メンバーのひとり汐里(石井杏奈)に思いもよらぬピンチが訪れたが、9月7日に放送された第9話では、ついに本作の主人公でありRocketsのキャプテンであるわかばにフォーカスが当たる。怪我で迷惑をかけられないとチームから外れ、メンバーのサポートに当たろうと躍起になる彼女に、Rocketsのメンバー、とくにわかばと共に苦難を乗り越えてきた創設メンバーたちは冷たい言葉をぶつけるのだ。


 「ベストなメンバーがベストな状態で」「踊られんかって、わたしはRocketsのメンバーや」「一番大事なのはRocketsがJETSに勝つこと」と、わかばが発する言葉のひとつひとつは、チーム全員の努力を見てきたからこそ言えるリーダーとしての言葉であろう。それに対して、汐里は「みんなで一緒に踊れるのは最後」「余計なこと考えないで1分1秒でも早くその膝治して」と、“仲間”としての言葉をわかばに投げかける。もっとも、汐里の性格的には“全員一緒に踊る”ということと“JETSに勝って全米に行く”ということが両立できるという強い確信があっての言葉にも聞こえる。


 とはいえ、全力で練習のサポートに励むわかばに、なぜ汐里は「来なくていいよ」と突き放すのかという前半の疑問を、順を追って回収して行くプロットは実に丁寧な印象だ。太郎(オダギリジョー)のアドバイスを受けて部活を休むことにしたわかばが、有紀(八木莉可子)や春馬(清水尋也)と“普通の高校生”らしい放課後や休日を過ごす中で、忘れかけていた「自分にとって本当に楽しいことは何か?」ということを気付かされていくのだ。


 前述した“リーダーとしての言葉”のように、チームを背負ったことで封じ込めてしまっていた、個人としての想いを取り戻したわかば。仲間たちがわかばに冷たい言葉をかけたのも、誰よりも踊ることを求め誰よりも悔しい思いをしてきたわかばを奮起させるための作戦であったわけだ。そしてチームに戻る決心をしたわかばの前で、全員がアカペラで歌いながら披露する「できっこないを やらなくちゃ」は、本ドラマを象徴する名シーンとなったといえるだろう。


 ところで、先週登場しなかった太郎の存在の大きさも忘れてはいけない。わかばのピンチに「本当はどうしたい?」と訊ね、「何もせんと、休んだらいい。寝てたらいい」とアドバイス。第5話で解決して以降触れられることがなかった、太郎の過去。前任の学校で生徒との関係に悩み、心の病を抱え復職したばかりだということを、このやり取りで思い出すことができる。自分が一度パンクしてしまった太郎は、わかばが様々なものを抱え込んでいることを、きちんと見抜いていたのだろう。まさかこのタイミングで、この設定が活かされることになるとは。


 そして太郎も退院し、いよいよ迎える全国大会。「打倒JETS」というひとつ目の“できっこない”に挑戦する権利を得た彼女たちが、どのようなパフォーマンスを見せてくれるのか。そして、もうひとつの“できっこない”にたどり着くことができるのだろうか。最終回はエピローグの最後の最後まで目が離せない回となりそうだ。(久保田和馬)