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チャンピオン争い並に注目したい、難コンディションでの3人の岡山マイスターバトル【スーパーフォーミュラ第6戦岡山】

2018年09月07日 19:31  AUTOSPORT web

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地元の岡山国際サーキットは平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)の得意なコースのひとつ。
残り2戦となり、いよいよチャンピオン争いが佳境に入ってきた2018年のスーパーフォーミュラ。第6戦の舞台、岡山国際サーキットで今週末にレースが行われるが、今週末の天候は土日ともに雨の確率が高く、厳しいコンディションが予想される。予選、決勝も予想しづらい展開になりそうだが、今回のレースの注目点をまとめた。

 第5戦を終えてのポイントランキングは、ニック・キャシディ(KONDO RACING)がトップの27ポイント、3ポイント差で山本尚貴(TEAM MUGEN)、石浦宏明(P.MU/CERUMO·INGING)が追い、ランキング4位の平川は14ポイントでやや離されているため、実質、キャシディ、山本、石浦の三つ巴のチャンピオン争いとなっている。

 当然、この3者の岡山での戦い方は『ライバルふたりよりも前の順位でフィニッシュする』ことが最低限の目標になる。金曜の走行では石浦がセッショントップタイムをマークし、キャシディは12番手、山本は16番手となったが、この金曜練習走行は前戦からの持ち越しタイヤを使用するため、あまり順位は参考にはならないが、まずは石浦の調子が悪くはないことだけはたしかなようだ。

 今回のスーパーフォーミュラ岡山戦の主役はチャンピオンを争う3人になることは間違いないが、別の視点で注目したいのが、この岡山を得意としている『岡山マイスター』と呼ばれる面々の戦いだ。筆者の主観が多いに入っているので異論はあるかもしれないが、岡山マイスターとしてズバリ、石浦、そして平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、大嶋和也(ウオモ スノコ チーム ルマン)の3人の名を挙げたい。

 大嶋はスーパーGTのGT300で優勝、GT500では2度2位を獲得。平川は地元が広島で近いということもあり、岡山はホームコース。実績でも平川はスーパーGTでは岡山で4年連続表彰台を獲得中で、2勝を挙げている。奇しくも大嶋、平川ともにスーパーGTではタイのチャン・インターナショナルサーキットでもチームメイトよりいつも速い印象があり、岡山とコース、路面の特徴でなにか共通項があるのかもしれない。

 そして石浦は2015年から開催されたスーパーフォーミュラの岡山戦、全6レースでなんと優勝2回、2位と3位を1回ずつという、6戦中4戦で表彰台を獲得している抜群の相性の良さ。さらには、現在の岡山国際サーキットの国内トップフォーミュラのレコードタイム、1分12秒429(2015年マーク)の保持者で、まさに岡山マイスターの筆頭的存在だ。

 本来ならば、今回の岡山戦は予選Q3でOTS(オーバーテイク・システム)の2度の使用(1周で2度の使用か可能)が認められ、これまでアイルトン・セナが保持している1分10秒218の岡山国際サーキットのレコードタイムへの挑戦が、いつもと異なる注目ポイントだった。そして、先に挙げた3人の岡山マイスターたちによるレコードタイム合戦が期待されていたのだが、残念ながら今週末の岡山の天候は雨。降水確率80パーセントで大雨の予報でウエットコンディションになることが濃厚のため、セナのレコードタイム更新は実質、不可能に近い状況になりそうだ。

 それでも、石浦、平川、大嶋の岡山マイスターたちは前戦のもてぎ戦で優勝(石浦)、2位(平川)、5位(大嶋)と上り調子で、この岡山でも主役になることは間違いなさそう。

「前回、前々回とポイントを獲得することができて、今回、プレッシャーがないわけではないけど若干、気持ちが楽になっているのはたしかです」と話すのは大嶋。今シーズンはソフトタイヤの時は抜群のパフォーマンスを見せる一方、ミディアムタイヤを苦手としていて、予選Q1突破が大きな壁になっている。

■岡山マイスター3人のSUPER FORMULA第6戦攻略ポイント

「今回はいろいろ対策もしてきましたし、今日走った感触だと、これまで苦労していたミディアムタイヤもこの岡山だとそんなに苦手な感じもなかった。ずっとユーズドのミディアムだったので順位は下ですけど、タイム的には悪くないと思っています。ミディアムが苦手ということはウエットタイヤも苦手ということになるので(苦笑)、いずれにしても僕たちはタイヤのパフォーマンスをもっと引き出せるようにしたいですね。明日は雨でもドライでも、どっちでも大丈夫だと思っています」と大嶋。

国内トップフォーミュラのレコードホルダーとして臨む石浦に、ドライコンディションのときに2度のOTSをどこで使うのかを訊ねたが、「それは秘密ですね(笑)」と一蹴。ドライバーによって使うタイミング、効果を最大限に活かせる場所が若干違うようで、明日の予選Q3の楽しみのひとつでもあったが、ウエットコンディションとなってしまっては「(OTSの効果は)かなり低くなると思います」と石浦が話すように、使いどころの効果も薄れてしまう。

雨の予選では「前のマシンの水しぶきを避けるために車間距離をドライの時以上に空けなければならないので、予選Q1,Q2ではトラフィックへの対応が大変になるでしょうね」と石浦が予想するように、1周の距離が短い岡山での雨の予選では、クリアラップをいかに確保するかが重要になる。

もうひとりの岡山マイスター、平川も「今日はずっとユーズドのミディアムで走っていたのですけど、そんなに調子は悪くないと思います。明日は雨のようですが、スーパーフォーミュラでここでウエットで走ったことがないので、わらかないですね。でも、スーパーGTで初優勝したときも、ここで雨だったので、そのときのイメージで臨みます」と、今週末の抱負を語る。

 平川は続けて、「レースも雨になるのは確実なようので、前のグリッドからのレースができるように明日の予選を頑張ります。岡山は地元のサーキットですし、(レッドブルF1のモータースポーツアドバイザー/ヘルムート)マルコさんが見ているかもしれないですし、見ていないかもしれないですけど、岡山マイスターの名を傷つけないように、『あれっ、あいつどこ行っちゃったの?』とならないように頑張りたいと思います」と、最後は平川節で締めた。

 今週末は予想の難しいコンディションへの対応が大きな鍵になりそうだ。その中で3人の岡山マイスターはどんなパフォーマンスを魅せるのか。チャンピオン争い、優勝争いと同じく、この3人の戦いも楽しみだ。