日米合作映画『MAKI マキ』が11月から東京・渋谷のユーロスペースほか全国で順次公開される。
様々な人種、国籍の人間が行き交うアメリカ・ニューヨークの日本人コミュニティーを舞台にした同作の主人公は、日本人コミュニティーの「ゴッドマザー」ミカの経営する日本人高級クラブでホステスとして働くマキ。女性の影が絶えないボーイのトミーの子供を宿したマキが、トミーとの関係を匂わせるユミコの存在を知り、トミーへの不信感と孤独を募らせ、やがて拠り所をなくしていくというあらすじだ。原題は『MAKI』。
英語も話せないままアメリカ人の恋人を追って日本を飛び出したマキ役に映画初出演となるモデル出身でアートディレクターのサンドバーグ直美がキャスティング。マキの恋人だがミカのコントロール下を逃れられないトミー役をブロードウェイで活動するジュリアン・スィーヒ、ミカ役を原田美枝子が演じる。メガホンを取ったのはイラン出身のナグメ・シルハン。あわせてポスタービジュアルと場面写真が公開された。
■ナグメ・シルハン監督のコメント
『MAKI』は一貫して「愛」を語る物語です。長年の協力者であり師匠でもあるアミール・ナデリ氏に本作のアイディアを相談した時、ナデリ氏は日本を舞台にした『カット』をちょうど撮り終えた頃で、マキを演じる若い日本人女性を見つけるよう勧めてくれました。私は映画学校で知った黒澤、小林、溝口、木下といった日本の映画監督たちの作品に親しんできましたし、三島由紀夫、村上春樹、小川洋子といった近現代の日本文学の熱心な読者でもあります。いつも日本文化に魅了され、もっと知りたいと思い続けてきました。また、若い日本人が多いイーストビレッジに何年か住んでいたことがあるので、日本人コミュニティとの関わりがありました。私は人が何かをつかんで逃すまいとする時に過去の一部を捨て去る、その過程に関心があります。アメリカに住むイラン人として、私にはこの双対性が嫌というほどよく分かるからです。移民の時代ともいえる現代において、これは多くの人にとって身近なテーマであり、また今も私を捉えて離さないのです。