映画『男はつらいよ』シリーズの新作が製作されることが発表された。
これは本日9月6日に行なわれた『「男はつらいよ」50周年プロジェクト』の発表会見で明らかにされたもの。1969年に第1作目が劇場公開され、これまでに49作が作られてきた『男はつらいよ』シリーズ。「寅さん」こと車寅次郎役を演じた渥美清が1996年に死去したことから、49作目となる特別篇『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇』以降は製作されていなかった。
『「男はつらいよ」50周年プロジェクト』発表会見には山田洋次監督、倍賞千恵子らが登壇。50作目となる新作の製作に加えて、全49作を4Kデジタル修復することも発表された。約22年ぶりとなる新作については、同作を手掛ける深澤宏プロデューサーから「10月中旬から撮影所や柴又など、寅さんゆかりの地で都内ロケが行われること」「主演は渥美清」「倍賞千恵子、前田吟、吉岡秀隆を始めとしたくるまややおなじみの人物が登場すること」などの概要が明かされた。
山田洋次監督は「第1作の終わりで博とさくらが結婚してオギャーと赤ん坊(満男)が生まれた。その満男をずっと撮り続けて、小学生から中学、高校へ進み、恋をしていろんな経験をする成長を追いかけた。その周りの家族も一緒に年をとっていく。これを振り返ると実に面白いが、全部を振り返るには長すぎる。この成長のプロセスを凝縮すると面白いんじゃないか、そんな映画は今までないんじゃないかと思うようになった。フランソワ・トリュフォー監督が『大人は判ってくれない』のジャン=ピエール・レオーを20年後に起用して青春映画を作っていたが、『男はつらいよ』は毎年毎年、継続して年に2回ずつ成長の記録を追いかけてきた。1人の少年の精神世界の成長を描いて大人になってしまうまでを、なんとかして映画にして、面白く伝えられないか。何年も前から考えていたことが、50周年を機に実現できる」とコメント。
さらに監督は、「主演はあくまでも渥美清であることが大事。その上で、いま、僕たちは幸せかい?との問いかけが、この作品のテーマになるんじゃないかと思う。新作の中で、この映画の全ての登場人物に観客は出会えるんじゃないかと思っている」と語った。
「こんにちは、元・さくらで、これからもさくらです」と挨拶した倍賞千恵子は、「新作のお話を聞いたときに、『えっ、お兄ちゃん(寅さん)いないのに、どうするんだろう?』と驚いた。でも、山田監督はそのままでいいよと仰った。どうやればできるのかしらと思っていたけれど、寅さんは実はずっと皆さんの心の中に生きていたんですね。そのみなさんの心が山田さんを動かしたんじゃないかと思っています。もしお兄ちゃんがどこかで見ていたら、『おい、さくら、まだ山田監督と映画を作るんだよ』と言っているような気もするんですね」とコメントしている。