PWCの初代TCRクラス王者に輝いたリアルタイム・レーシングのライアン・エバースレー 2018年からTCRクラスが創設された北米の人気シリーズPWCピレリ・ワールドチャレンジは、最終戦がワトキンスグレンを舞台に開催され、リアルタイム・レーシング(RTR)のFK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRをドライブするライアン・エバースレーが連勝を飾り、TCRクラス初代チャンピオンの座に輝いた。
選手権リーダーとして臨んだ今季最後の予選セッションで、アキュラのワークス部隊として活動してきたRTRのエバースレーが幸先良くポールポジションを獲得し、貴重なチャンピオンシップの1ポイントを加算。
最大のライバルとしてシーズンを通じて激戦を繰り広げてきたブライアン・ハータ・オートスポート(BHA)勢のマーク・ウィルキンス(ヒュンダイi30 N TCR)にコンマ6秒の差をつけると同時に、ランキング2位となるもう1台のBHA、予選3番手のマイケル・ルイスに対して8ポイント差でレース1に臨むこととなった。
同日9月1日に迎えた18周のレース1では、エバースレーが順調にホールショットを奪い、序盤のセーフティカー(SC)導入にも動じず、リスタートの攻防もクリア。
一方、チャンピオンシップを考慮して早々にポジションを入れ替えたBHAは、3番グリッドスタートのルイスが懸命にシビックのテールを追うものの、エバースレーはラップダウンとなるクラス違いのマシンも利用して巧みなディフェンスを披露し、前に出ることを許さず。
レース時間残り5分のところで1コーナーのアウトからサイド・バイ・サイドに持ち込んだルイスだったが、エバースレーのラインを奪うことはできず、そのままのポジションでフィニッシュラインへ。
わずか0.221秒差でエバースレーが勝利し、2位にBHAのルイス、最後の表彰台となる3位には今季幾度かRTRの一員としてレースを戦ったメイソン・フィリピ(FK8ホンダ・シビック・タイプR TCR)が入った。
この勝利でルイスに対し2ポイント多く獲得したエバースレーだが、ルイスはファステストを記録して1ポイントを加えると同時に、2018年最終のレース2に向けポールポジションを確保。最後の最後までチャンピオン争いで食い下がる姿勢を見せた。
引き続きチャンピオン確定に向けた激闘が繰り広げられると期待された日曜のレース2は、オープニングラップでBHA勢をまさかの悪夢が襲う。
フロントロウ2番手からスタートしたホンダのエバースレーがすぐさま首位浮上に成功する一方で、ポールシッターだったルイスのヒュンダイはマシントラブルが発生し力なくピットへと向かったのだ。
なんとかラップダウンは免れるタイミングでルイスをトラック上へと送り返したBHAだが、これで選手権ライバルのエバースレーははるか彼方となる、最後尾ポジションにまで脱落してしまうことに。
同じくBHAのチームメイトであるウィルキンスも同様の苦境に立たされ、最初のSC明けリスタートでRTRのフィリピにかわされポジションを落とすと、レース時間残り9分のところでヒュンダイi30 N TCRが根を上げコースサイドにストップ。最終的に5週遅れの17位というリザルトに終わってしまう。
そして一縷の望みに賭けて最後尾から追い上げたルイスも、18周で5位まで挽回するのが精一杯。結果的にRTRのエバースレー、フィリピがワン・ツー・フィニッシュを飾り、週末連勝のエバースレーがタイトルを獲得する、あっけない幕切れとなった。
「僕の今週の目標はポールポジションを獲得して、最大限のポイントを獲得することだった。両レースで2位でも、チャンピオンシップでルイスを上回れる計算だったからね。だから土曜にポールを奪って、レース1でホールショットを決めたときは『イケる』と感じたよ」と、今季4勝目、5勝目を飾って文句なしのチャンピオンとなったエバースレー。
「これだけは言わなくてはならないが、レース2でBHAの2台ともに技術的な問題が発生したのは本当に残念だった。タイトルを争うドライバーがこんな方法で決着をつけたいとは誰も思わないからね」
「今季、僕らは最多の表彰台を獲得したチームとなり、それこそがホンダの信頼性と一貫性を証明している。僕らRTRは古くからJASモータースポーツとも関係を持ち、彼らが今回のTCRマシンを製作したときも、それはすぐに成功を収め、一貫したプログラムになると分かっていたよ!」
まさかの展開となり、最後の最後でドライバーズタイトルを逃したBHA勢だが、唯一の慰めとして、土曜のレース1結果によりチームとマニュファクチャラーズの両タイトルを手にしている。