2018年09月05日 20:12 弁護士ドットコム
LGBT差別への取り組みについて、経済評論家の勝間和代さんら、セクシャルマイノリティであることを公表している識者・政治家らが9月5日、日本外国特派員協会(東京都千代田区)で記者会見を開いた。
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外国人記者の関心はどこにあったのか。ある記者は「(パートナーシップ制度など)地方レベルの取り組みはあるのに、どうして国会レベルの法整備が遅れているのか」と質問。
これに対し、国会議員の中で唯一、同性愛者であることを公表している尾辻かな子議員(立憲民主党)は「与党である自民党に差別解消とか、人権という言葉に対する抵抗感、多様な家族の承認に対するアレルギーがあるからだと思います」と回答した。
別の記者は、アメリカでは宗教的な理由からLGBT差別が起きているとして、日本では何が理由になっているのかと尋ねた。
この点について、尾辻議員は「国民の間に年代のギャップがある」と説明する。10代・20代のLGBTに対する許容度は、他の先進国と遜色ないレベルである一方、社会の決定権を持つ50・60代に抵抗感が残っているという。
実際、2015年の調査で、国民の51.2%が同性婚の法制化に肯定的な回答をしており、年配ほど反対の割合が高いという結果も出ている(性的マイノリティについての意識2015年全国調査)。
尾辻議員は同時に、国民と決定権を持つ政治家との間にもギャップがあると言う。特に自民党の一部政治家の中には、宗教団体からの支持があるため、同性婚などを肯定しづらい事情があるのではないかと述べた。
自民党もLGBTへの理解を促進する法律が必要との立場だが、差別をなくすためには踏み込みが足りないという指摘もある。尾辻議員によると、立憲民主党は、他党と協力しながら、秋の国会で「差別解消法」の提出を予定しており、同性同士のパートナーシップを可能にする法律も検討しているという。
当事者らはどういう法律が必要だと考えているのか。LGBT法連合会の増原裕子さんは、現状を「信号がない交差点」にたとえ、性的指向・性自認(SOGI)による差別的な取り扱いを禁止する法律が必要だと訴えた。
「たとえば、トランスジェンダーの学生が入社前にそのことをカミングアウトしたら内定が取り消される、ということが起こらないようにする。このほか、SOGIを理由としたハラスメント『SOGIハラ』の防止なども求めています」(増原さん)
今年5月、レズビアンであることを公表した経済評論家の勝間和代さんは、世間の反応の多くが好意的だったと報告した。一方で、匿名の人からは批判的な反応が多かったとして、「面と向かい、お互いを知ることが重要」と話した。
(弁護士ドットコムニュース)