2018年09月05日 14:42 弁護士ドットコム
非常に強い台風21号は9月4日、関西地方を中心に各地で大きな被害をもたらしました。もしも、今回のような台風など災害によって建物に被害があった場合は、自治体の窓口で「罹災証明書」を取りましょう。公的な支援や保険請求の手続きのために必要となるもので、片付けたり、修理したりする前にスマホなどで被害状況を記録しておくことが勧められています。
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「罹災証明書」は台風だけでなく、豪雨や地震、津波など、災害救助法が適用されるような大規模災害の際に発行されます(災害対策基本法第90条の2)。賃貸アパートや借家も含めた住宅が対象で、50%以上の損害がある「全壊」、40%以上50%未満の「大規模半壊」、20%以上40%の「半壊」、20%未満の「半壊に至らない」という4つの区分で認定がされます。
「罹災証明書」は、被害の程度によって「被災者生活再建支援金」の給付や「災害援護資金」の融資、そのほか税や保険料、公共料金の免除・猶予の際にも必要になってきます。また、民間会社での保険請求でも必要になる場合があります。
このように、災害から生活を再スタートさせるためには重要なものですが、近年、災害が発生した際に罹災証明書の発行が遅れてしまうという反省がありました。そこで最近、自治体によっては、職員の現地調査を省略、被災者自身がスマホなどで撮影した写真によって、被害判定を行うところが増えています。
たとえば、京都市では今年6月にあった大阪北部地震をきっかけに、「一部損壊」など被害が軽い住宅を対象としてこの「自己判定方式」を導入しました。京都市伏見区役所の防災担当ページでは、罹災証明書発行の際に「被害状況がわかる写真」として、「建物の全景(4面)」「表札(あげている場合)」「被害箇所」の提出などを求めています。
もしも、住宅に被害があった場合には、すぐに片付けたり、修理したりせず、自治体に問い合わせてどのような写真が必要か事前に確認してから、撮影するとより手続きがスムーズでしょう。まずは身の回りの安全を確認しながら、手続きの準備をしてください。
(弁護士ドットコムニュース)