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宮本亜門があさイチの不登校特集で語った言葉が話題に 「"普通"という言葉に完全にシャッターが下りていた。何が普通なの?」

2018年09月05日 06:51  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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不登校の経験を持つ演出家の宮本亜門さん(60)が、9月3日放送の「あさイチ」(NHK総合)の不登校特集に出演し、称賛の的になりました。

夏休みが終わり、2学期が始まるこの時期は子どもが不登校になるリスクが高いといわれています。いまや33人に1人が不登校という統計も。亜門さんは高校1年生の頃に1年近く不登校の経験があり、苦悩の日々を熱心に語る場面が度々ありました。(文:篠原みつき)

「どうしても、親が言っていたのは将来のことばかり」

番組では、娘が不登校になった親子をVTRで紹介しました。これに亜門さんは、

「(VTRで)お母さんがポロっと言った『普通はみんな通ってる』っていう言葉。この『普通』で僕は完全にシャッターが下りちゃってました。何が普通なの?じゃあ僕は普通じゃないの?それが正しいわけじゃないじゃん。全員違う個性があるはずなのに」

と、苦しげな表情で語ります。親は大好きだったけれど、「普通」という言葉にやられてしまい、結局引きこもってしまったといいます。こんな気持ちも吐露しました。

「どうしても、親が言っていたのはいつも将来のことばかりで。今の自分を見てくれてないっていう不満と、今の話をしたいんだけど、ずっと『未来、将来、学校は、周りは』、って。これが僕にはつらかったですね」

親は自身の経験から子どもの将来が気になるもので、先のことばかり話してしまいがちです。しかし、子どもは眼の前の「今」を生きており、先のことばかり言われても不安になってしまいます。番組ゲストで臨床心理士の掛井一徳さんは、「励ましや期待の言葉は大切だが、そればかりで『安心感』がないと、精神が削られてしまう」と説明していました。

「引きこもりは将来の何かにつながっていくブレーキをかけている時期」

「普通」という言葉にやられて引きこもってしまった高校生の亜門さんは、部屋の内側から鍵をかけて10枚あったレコードを毎日ずっと聴いていたそうです。そのうちにイマジネーションが広がり、今の演出家という仕事につながったとのこと。

「僕は引きこもりがなかったら今の仕事ができなかった」と語り、

「あの時期は異常に感受性が豊かになっているので、将来の何かにつながっていくブレーキをかけている時期だと理解していただければ」

と力説しました。

さらに「普通だから(こうしろ)と言うよりも、今は新しい仕事もどんどん出てきているし、ネットもある」「そういう意味では、引きこもりも悪くないって今なら思えるようになりました」と実感をこめて語りました。不登校は決して人生において無駄な時間ではないという訴えです。

視聴者FAXに反論「なんで家庭内暴力に結びつけるんですか?」

ですが、50代の視聴者から寄せられたFAXには、「子どもの自由に任せるだけでいいのでしょうか。そうこうしているうちに子どもも焦り、家庭内暴力や引きこもりにつながっていきます」と、不安を訴える声も寄せられました。亜門さんはこう反論しています。

「どうして家庭内暴力に繋がっていくって思うんでしょう。そこをすごく親御さんが心配し過ぎて、悪いイメージを持たれるより、"絶対この子は将来何かになる、今はこの子の個性を育てる時期だ"と考えたほうがいい」

つまり、「不登校」がイコール「悪いこと」なると思わない方がいいというアドバイスです。親はどうしても子どもが心配で突き詰めて考えてしまいがちですが、それではお互いに楽しめなくなってしまうと言います。

「この時期は本当に良いチャンスで、将来何が起こるか分かんない。人と違う個性、新しい人格が築ける」

と、今を楽しんで過ごすこと、未来を明るく描くことの大切さを、亜門さんは説きました。

番組を見ていた視聴者からはツイッターで「めちゃめちゃいいこと言ってる」「宮本亜門の言ってることが分かりすぎて泣けてくる」などと共感の声が相次ぎました。こうした悩みは、何十年も前から今も変わらないことなのでしょう。

最後に亜門さんは

「お互いポジティブにまず楽しむ、無理やり何かをしようとお互いしない。子どもの時代はまだ新しい時代なんですよ。それぞれが良い形で大人扱いして楽しんでいけると良いと思います」

と、今も不登校に悩む人たちにエールを送りました。