F1イタリアGP決勝は、前日の予選で圧倒的なパフォーマンスを見せたフェラーリ勢をメルセデスが逆転するレース展開となった。メルセデスF1チームのトップであるトト・ウォルフは、なぜ決勝ではフェラーリよりも速さを発揮できたのか、その理由を正確に説明できずに戸惑っている。
フロントローを独占したフェラーリ勢のマシンが、速さでは他チームを上回っていることに疑いの余地はなかった。だが、レースはメルセデスにとって予想外の結果となった。タイトル争いのライバルであるセバスチャン・ベッテルが序盤に犯したミスにルイス・ハミルトンがうまく乗じて、自身68度目となるグランプリレース優勝を果たしたのだ。
ハミルトンは2位に入ったキミ・ライコネンのSF71Hと比べてペースで上回り、デグラデーションも少なかった。今回の勝利によって、世界チャンピオンのタイトル争いではベッテルとの差を30ポイントに広げている。
「つまり日曜日の決勝レースこそが重要だということだ。前戦のスパからモンツァにかけて、エンジン担当とシャシー担当のスタッフ全員が成し遂げた今回の仕事を、私は大変誇りに思う」とウォルフは語った。
「マシンとタイヤをより深く理解することができていた。土曜日にポールポジションを獲得することはできなかったものの、パフォーマンスは向上していたし、この数日間でとても良い仕事を行なえたという感触がある」
「仮に決勝で勝てなかったとしても、私は同じことを言っただろう。全体で一番速いマシンを手にしていたわけではなかったが、それでもレースでは結果を出したのだ」
「我々のマシンは信頼性が高く、タイヤにも優しい。我々のタイヤにはフェラーリのようなブリスターは発生しなかったのだ。そしてふたりのドライバーとチームが素晴らしい成果を上げてくれた」
しかしながらウォルフは、メルセデスW09の速さが一夜にして向上した理由を正確に説明することができず、戸惑っている。
「理由が分からない」とウォルフ。
「パフォーマンスのパターンが土曜日と日曜日では完全に変化しており、その理由についてはまだ説明がついていない状態だ。もっと賢い人物になら分かるのかもしれないが、我々としては分析を進めていく必要がある」
ウォルフは、フェラーリが予選で見せた途方もない速さは、おそらく1ラップ以上は続かないものだったのだろうと示唆した。優れたパフォーマンスが、決勝レースでは限られた影響しか与えなかったからだ。
「あのアタックで見せた素晴らしいパフォーマンスを、彼らはレース全体を通じて反復させることができなかったようだ」とウォルフ。
「ただ、私が無理に理由を見つけ出そうとしているというようには思われたくないので、これ以上立ち入るつもりはない。彼らのマシンは予選では見事な働きをしたし、決勝でも良く見えた。だがそれでも、マシンに何らかのダメージを受けない状態で走るセバスチャンを見たわけではないからね」
「それがこのスポーツの面白いところでもある。状況は常に変わり続ける」
「我々は皆レースウイークだけでなく、日々、劇的なレース展開とその先にある栄誉との間を行ったり来たりしている。そしてそれが、世界選手権の卓越性を構成する要素なのだ。ただ今でも、彼らのパッケージはこの上もなく強かったと思っている」