ポートランド・インターナショナル・レースウェイで開催されたインディカー・シリーズ第16戦。2日に行われた決勝レースは、20番手からスタートした佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が2017年のインディ500以来となる今シーズン初勝利を挙げた。
フリー走行では5番手と手応えを感じながら、予選ではQ1で敗退し20番手スタートとなった佐藤琢磨。
レースはオープニングラップからジェームズ・ヒンチクリフ、エド・ジョーンズ、グラハム・レイホール、マルコ・アンドレッティ、そしてランキングトップのスコット・ディクソンがクラッシュする波乱の幕開けを迎える。
ディクソンはなんとか再スタートし、20番手ながらレースに復帰する。
7周目にレースはリスタート。しかし、トップを走行していたウィル・パワー(チーム・ペンスキー)にマシントラブルでポジションをダウン。ランキング2位のアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)がトップに立ちレースをリードする。
琢磨は燃料をセーブする走行で最初のタイヤ交換を伸ばし、3回のピットストップを2ストップ作戦に出るストラテジーを選択。
マシントラブルで後方に下がったパワーがコースアウトを喫し、43周目にイエローコーションとなると琢磨はこの時点で10番手にジャンプアップする。
さらにポートランド戦で速さを見せていた新人のザック・ビーチ(アンドレッティ・オートスポート)がスピンを喫し、56周目にこの日3度目のイエローコーションとなる。
ここで各車ピット作業を済まし、2ストップ作戦を選択していた琢磨はライアン・ハンター-レイに続く2番手に浮上。ハンター-レイも3ストップから2ストップに変更すべく燃料をセーブし始める。
ハンター-レイがピットインし、トップに立った琢磨。その数周後にサンティーノ・フェルッチ(デイル・コイン)がコース上にストップし、各車最後のピット作業を行うべくピットレーンへと向かう。
琢磨は、タイヤ交換を行っていないマックス・チルトン(カーリン)に次ぐ2番手でコースに復帰。チルトンがタイヤ交換へ向かうと、85周目で再びトップに立つ。
2番手にハンター-レイと1秒くらいでレースをコントロールする琢磨は、ベテランらしい安定感ある走りを披露。最後はハンター-レイに迫られるも、そのまま逃げ切り2017年以来となる今シーズン初優勝を飾った。
表彰式の前にGAORAのインタビューに答え、インディカー3勝目の喜びを語った琢磨。
「予選の順位は良くなかったですけど、クルマはいい動きをしていたので、昨日からセッティングはほとんど変えなかったです。20番手といってもトップからも数コンマしか離れてなかったので、チャンスはあると思っていました」
「今日は2ストップでいけるとわかっていましたので、2周目から燃料をセーブして、イエローもうまく入ったし、ストラテジーも良く、ピットストップも早かったです。前に出られたらレースもコントロールできたので非常にやりやすかったです」
「最後はハンター-レイが来ることもわかっていたので、プッシュ・トゥ・パスを使いながら、なんとか1秒弱のギャップを保てていたので、最後の数周は緊張感あるバトルが楽しめました」とコメントした。