F1第13戦ベルギーGPに続いて、2週連続開催の2戦目の第14イタリアGPは、ベルギーGP同様、高速サーキットが舞台となる。しかし、この高速ラウンド2連戦は、同じ高速でもキャラクターが違う。
スパ・フランコルシャンは、確かにセクター1とセクター3が全開率が高い高速セクションだが、セクター2には中速コーナーが連続するテクニカルセクションがある。そのため、2018年のベルギーGPではセクター2を重視したチームが何台かいた。
そのためトロロッソ・ホンダの弱点であるストレートでのスピードがうまく隠されて、ピエール・ガスリーが9位に入賞した。
しかし、モンツァには中盤にレズモという中速コーナーが2つあるだけで、あとはほとんどがシケインと直線。
基本的な空力のセッティングはできるだけ空気抵抗を減らしたロウ・ダウンフォース仕様となる。その空力パッケージでいかにブレーキングを安定させ、シケインの立ち上がりで早くトラクションがかけられるかが勝負となる。したがって、スパとは異なるアプローチでセットアップを進めていかなければならない。
ところが、このモンツァは、トロロッソとホンダにとって、鬼門ともいえるサーキットだった。
まずホンダだ。2015年にF1に復帰したホンダには、まだポイントを獲得できないでいるサーキットが6つある。オーストラリアGP、中国GP、カナダGP、フランスGP、日本GP、そしてイタリアGPだ。
日本GPが行われる鈴鹿サーキット以外は、みなストレートがメインのコース。つまり、4つのPU(パワーユニット/エンジン)マニュファラクチャーの中で依然として、後塵を拝しているホンダにとっては、パワー不足が結果に出やすい。
パートナーのトロロッソに至っては、2014年から入賞を逃しているだけでなく、予選でQ3にも進めていない。
つまり、トロロッソの車体はロウ・ダウンフォース仕様の空力パッケージにしても空気抵抗が大きくて直線でスピードが伸びないか、ロウ・ダウンフォース仕様だとブレーキングが不安定になったり、トラクションがかかりづらいという特性があるのかもしれない。
■クルマのバランスに苦戦するピエール・ガスリー
イタリアGP初日、14番手に終わったガスリーがまさにそうだった。
「クルマがあまりいい感触じゃなかった」というので、「どのへんが?」と尋ねると、「ブレーキングのスタビリティがなくて、コーナー立ち上がりでもトラクションが不足していて、リヤが予測不能だった。クルマのバランス変化も激しかった」と言う。
ブレンドン・ハートレーはガスリーほどセットアップに不満はなかったが、トラブルによって走行時間が限られたことにフラストレーションを抱えていた。
「ボティワークにちょっと問題があって、ガレージで足止めされた」(ハートレー)
セッション後にホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターに確認すると、「カウルの止め金具に不具合があった」という。トラブル自体はマイナーなものだが、ロングランができないという結果は、レースに向けて決して小さな問題ではない。
ただし、ハートレーは「僕らは戦える位置にいる」と前向きだ。
じつは、この日のハートレーの最高速は時速339.5kmと全体で3番目に速かった。スピードはある。あとはセッティングをどうまとめるかだ。