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堂本剛ソロプロジェクト ENDRECHERI、最新チャート1位獲得の痛快さ ファンクなサウンドを分析

2018年09月01日 10:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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参考:2018年9月3日付週間シングルランキング(2018年8月20日~2018年8月26日・ORICON NEWS)


 2018年9月3日付のオリコン週間シングルランキングで1位を獲得したのは、ENDRECHERIの『one more purple funk… -硬命 katana-』。ENDRECHERIとは、堂本剛によるソロプロジェクトです。


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 ここではまず、堂本剛がENDRECHERI名義で2018年5月にリリースしたアルバム『HYBRID FUNK』が、驚くほどファンクに傾倒したサウンドであったことから触れるべきでしょう。ブラックミュージックへの造詣の深さをうかがわせてきた堂本剛ですが、山下達郎もギターで参加した「HYBRID ALIEN」(『HYBRID FUNK』収録)で針が振りきれた印象すら受けました。


 それから約4カ月、同じくENDRECHERI名義でリリースされたシングルが『one more purple funk… -硬命 katana-』。収録曲は全曲が堂本剛による作詞作曲です。


 タイトル曲の「one more purple funk… -硬命 katana-」は、チャートがファンクに厳しいと言われる日本で、よくこれをシングルカットしたと思うほどのファンクロック。ブラックロック~P-FUNKを縦断するかのようなサウンドで、KenKenのベースもファンキーそのものです。そして、歌詞はセクシャルなメタファーに包まれており、堂本剛がねっとりと歌いあげます。


 そういえば、ENDRECHERIが出演した2018年8月19日の『SUMMER SONIC 2018』には、P-FUNKの創始者たるジョージ・クリントンも出演していました。堂本剛はジョージ・クリントンのステージを見たのだろうか……と考えてしまうのは、ENDRECHERIのサウンドの混沌ぶりゆえです。


 Original Edition盤のカップリングの「funky レジ袋」では、キーボードの音色感覚といい、シンプルなリズムセクションといい、さらにP-FUNKに接近。この楽曲が週間シングルランキング1位獲得曲のカップリングであるという事実には驚かされると同時に痛快でもあります。


 「神機械」は1980年代のプリンスを彷彿とさせるサウンド。ミネアポリス産かと思わせるファンクロックです。そして最後の「Rainbow gradation」は、甘いR&Bバラード。


 ENDRECHERIの『HYBRID FUNK』を聴いたときから思っていることですが、彼のようなアーティストがジャニーズ事務所所属というだけで音楽ジャーナリズムから正当に評価されないとしたら、それはJ-POPシーンにとっても不幸なことです。前述したようにチャートがファンクに厳しいと言われる日本で、現時点においてもっとも多くのセールスを記録しているファンクのアーティストは誰か? それはおそらくENDRECHERIなのですから。(宗像明将)