エン・ジャパンは8月29日、「異業種への転職」に関する調査結果を発表した。調査は今年6月~7月に実施。同社運営の「ミドルの転職」上で、サイトを利用している35歳以上のユーザー1151人から回答を得た。
調査によると、69%が「異業種への転職を検討している」と回答。検討業種は「メーカー」(25%)が最も多く、次いで「コンサルティング」、「IT・インターネット・ゲーム」(同率で11%)、「流通・小売・サービス」(10%)と続いた。
商社勤務の4割がメーカーへの転職希望 広告・出版・マスコミは2割がIT業界に憧れ
現在就業中、または直近の就業先の業種と、転職を希望している業種との関連を見ると、「商社」で就業中・就業していた人の40%が「メーカー」への転職を希望していた。「広告・出版・マスコミ」の20%の人が「IT・インターネット・ゲーム」を希望していることもわかった。
異業種への転職を希望する理由1位は「新しい経験を通じて、自分を高めたいから」(54%)。2位は「業界の将来性に不安を感じるから」(35%)、3位は「より多くの求人情報を検討したいから」(30%)だった。
年代別で見ると、30代は40代や50代と比べ、「年収水準の高い業界へ移りたいから」(44%)、「働く業界に拘りがないから」(32%)、「休日休暇など時間的待遇を改善したいから」(31%)などの理由が多かった。
回答者全員のうち、異業種転職の経験があるのは58%と、半数以上に上った。転職した年代で最も多かったのは「30代」(35%)で、以降、「40代」(27%)、「20代」(24%)、「50代」(14%)と続く。中小企業から中小企業へ移った人が24%と最多で、大企業から中小企業へ移動した人が22%、大企業間の転職が15%だった。最も少なかったのは、ベンチャー企業間の転職と、ベンチャー企業から大手企業への転職で、2%だった。企業規模が変わらなかった人は、合計41%だった。
実績や知識なくても「即戦力扱い」 異業種転職ならではの苦労も
異業種へ転職してよかったことには、「スキルの向上、知識の増加」、「視野が広がった」、「仕事の幅が広がった」(同率で53%)などが上がった。「新鮮な気持ちで仕事に取り組めた」(48%)、「今までの業界での経験を活かせた」(28%)、「給与の向上や福利厚生の充実が実現し、生活が安定した」(27%)という回答も多かった。
「業界が違えば見える世界も変わるため、広い視野で世の中の流れを見ることができるようになりました。転職先は若い社員の多く、新鮮な気持ちで仕事に取り組んでいます」(37歳/女性)
「銀行からITベンチャーの経営企画へ転職。経営、人事管理、M&A、海外進出など、経験の幅が格段に広がった。一方で、銀行時代の経験を活かし、財務戦略助言や銀行交渉助言など、前職の経験も役に立った」(48歳/男性)
というコメントがあった。
異業種へ転職して苦労したことについては、「新しい知識を覚えること」(53%)、「異なる商習慣、業界風土に馴染むこと」(52%)が多かった。具体的には、
「使用するツール、プログラミング言語や、その業界ならではの用語などを覚えるのが大変で最初はついていくことにかなり苦労した」(38歳/男性)
「外資系企業での就業でしたので、日本企業にはない本社との承認プロセスや英語での仕事に、最初は戸惑いがありました」(53歳/女性)
との体験談が寄せられた。