嘘つきは泥棒の始まりだと言う。実際に嘘をついた人間がみんな泥棒になるわけではないが、人の信用を損ねる行為であるので、社会的な地位も名誉も失われることには違いない。
いつだったか、港区キラキラ女子を装っていた人が詐欺で捕まっていたが、あれなどはまさに、嘘つきが本当に泥棒になった具体的一例だろう。
世間には嘘つきは存外に多い。中には嘘の常習者というか、嘘をつかずにはいられない、いわゆる虚言癖の人もいる。こういう人間に関わると、思わぬ飛び火で火傷をしてしまうこともあるから困り者だ。(文:松本ミゾレ)
職場で「バツイチ」の嘘を流される被害 周囲も長らく信じていた
先ごろガールズちゃんねるに「虚言癖の人による被害報告。」なるトピックが立った。トピ主は以前、職場の嘘つきな同僚によって、彼女がバツイチとの嘘を吹聴されたという。
こういう話は「バツイチなの?」と聞きにくいこともあってか、話を聞いた人たちが本人に事実を確認することは滅多にない。このケースでは、誰も彼女に本当のところを問いただすこともないまま、かなり後になるまで判明しなかったそうだ。
僕の周囲には幸いこの手の人間はそうそういないが、過去に1人だけ、他人のあることないことを言い触らす頻度が病的なまでに高い男がいた。外面はバツグンなものの、口八丁で嘘に嘘を重ねるような男だったので、徐々に人望を失い、今では音沙汰もとんと聞かない。
当たり前だけど、ひとたび嘘つきと分かってしまえば、仲良くしようと思う人は激減するものだ。
「元彼。しょっちゅう家族が病気になったり、親友が事故で死んだりしていた」
さて、このトピックには実に様々な、嘘つきのせいで困った目に遭った人々の経験談がひしめいている。特にインパクトの強い事例をいくつかご紹介させていただきたい。
「職場に『俺の親父は経営者でヤクザがついてる、税金対策でお袋に内緒で高級車何台も持ってる、今までパチンコで300万プラスになった、株で稼いでる、彼女の親は地主』だの嘘クサ話ばっかしてる高卒の先輩がいる」
「元彼が重度のメンヘラ虚言癖だった。しょっちゅう身の回りで不幸なことが起きたり(嘘)、家族が病気になったり(嘘)、親友が事故で死んだり(嘘)していたな。別れてから不治の病設定が追加されて、SNSで『余命◯か月だけど、死ぬその瞬間まで◯◯を愛し続ける』的なことを日々書き連ねていて、怖かったな」
「勤務先のワンマン社長がやたらと話を盛る。首の皮一枚でつながっているような零細企業なのに、年賀状が毎年一万枚くるだの、大物政治家に顔が利くだの、すぐに嘘だとばれるようなことばかり」
なんかこう、見ているこっちが恥ずかしくなるような杜撰な嘘ばかりで、他人事ながら顔が赤くなってしまいそうだ。嘘をつくのは人間だからしょうがないけど、ここまで見え透いた嘘をつくのって、どういう了見なんだ。嘘はバレた後が面倒なのだから、風呂敷はあまり広げないでおくべきなのに……。
虚言癖の人間には、自分の嘘がやがて自分を中毒死に追い込む猛毒だっていう自覚がないのかもしれない。