映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』が8月31日から全国東宝系で公開される。「平成の終わり」が喧伝される昨今。その言い回しの是非はひとまず置くとして、著名人の相次ぐ死去など「平成の終わり」を象徴するような出来事が立て続けに起こっているのは事実だ。この『SUNNY 強い気持ち・強い愛』の公開も、そうした「平成の終わり」の象徴的な出来事の1つといえるかもしれない。
『SUNNY 強い気持ち・強い愛』は、2011年に韓国で745万人の動員数を記録した韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』をもとにした作品。舞台を日本に移し、1990年代のJ-POPや当時のファッションを盛り込んだ新たな作品として再構築されている。監督・脚本は『モテキ』シリーズの大根仁。企画・プロデュースは映画『モテキ』『バクマン。』などで大根監督とタッグを組んだ川村元気が担当している。
■引退表明の小室哲哉による最後の映画音楽。本編の主演は「小室ファミリー」篠原涼子
劇中音楽は今年1月に引退を表明した小室哲哉が担当。小室が引退前に手掛けた最後の映画音楽となり、劇伴としてオリジナル曲24曲を提供している。
小室哲哉は昭和63年にあたる1988年公開の映画『ぼくらの七日間戦争』、平成2年にあたる1990年に映画『天と地と』の音楽を担当。1994年頃から音楽プロデューサーとしての活動を本格化させ、一大ムーブメントを作り上げたことは周知のとおり。
『SUNNY 強い気持ち・強い愛』で主人公・奈美を演じる篠原涼子は、1995年に小室プロデュースの楽曲“恋しさとせつなさと心強さと”で200万枚を超えるヒットを飛ばした。いわゆる「小室ファミリー」の1人として脚光を浴びた。今作で再びタッグを組むということも話題を集めそうだ。
■あの懐かしの名曲も。全11曲の劇中使用曲が彩るメドレー動画も公開
『SUNNY 強い気持ち・強い愛』の劇中で使用されている楽曲は以下の11曲。
LA・LA・LA LOVE SONG / 久保田利伸(1996年)
CANDY GIRL / hitomi(1995年)
やさしい気持ち / Chara(1997年)
EZ DO DANCE / trf(1993年)
ぼくたちの失敗 / 森田童子(1993年)
これが私の生きる道 / PUFFY(1996年)
そばかす / JUDY AND MARY(1996年)
survival dAnce~no no cry more~ / trf(1994年)
Don't wanna cry / 安室奈美恵(1996年)
強い気持ち・強い愛 / 小沢健二(1995年)
SWEET 19 BLUES / 安室奈美恵(1996年)
劇中使用曲を全曲使ったメドレーPVも公開中だ。11曲中5曲は小室哲哉がプロデュースした楽曲。中でも今年引退を表明した安室奈美恵“SWEET 19 BLUES”は、メドレー中でも印象的に使用されている。サブタイトルにもなった“強い気持ち・強い愛”は、<強い気持ち 強い愛 心をギュッとつなぐ/幾つもの悲しみも残らず捧げあう/今のこの気持ちほんとだよね>というサビの歌詞が耳に残るナンバー。森田童子“ぼくたちの失敗”は1976年に発表された楽曲だが、1993年放送のドラマ『高校教師』で主題歌に起用。同年にCDリリースされ、90万枚を超えるヒットを記録した。
■大根仁監督「何より先に思いついたのは、小室哲哉さんに劇伴音楽をやってもらう!ということ」
小室哲哉、篠原涼子、大根仁監督、川村元気のコメントは以下の通り。
・小室哲哉のコメント
プロデューサーの川村君をはじめ多くの方々がSUNNYという題材に興味を持っていました。 しかし全ての時空が、重ならないと始まりも終わりもしないプロジェクトでもあり、大根監督の忍耐と信念が成し遂げた作品でもあります。
僕は音楽全般を担当させて頂きましたが、最後の僕の映画音楽になります。 一本の映画で自分の音をこれほどまで多く耳にする事は中々無いだろうなと思うと同時に、締め切り間近になればなるほど最後の仕事で「映画音楽とは」を教えてもらった気がします。
涼子ちゃんを最初に見かけたのは涼子ちゃんが16才ぐらいの頃だったと思います。
皆んな輝いてくれて、よかったなあと心から思っています。
素敵なプロジェクトに参加させて頂き、ありがとうございました。
・篠原涼子のコメント
1990年代は、まさに私も真っ只中の時代。当時は本当に忙しくて、あまり記憶が無いんですが(笑)、映画を見て音楽を聞いた瞬間、当時のことがバーっと蘇ってきて、曲の力って本当に凄いと改めて感じました。劇中に出てくる音楽は、どれも色あせない曲ばかりです。特にTRFさんは同じ小室ファミリーだったので、曲を聞くと「一緒に音楽番組出ていたなぁ~」なんてことも思い出しちゃいました(笑)。
小室さんは撮影現場にも来てくださったのですが、お互いあの頃から風貌は変わったけど、中身は変わってないねって(笑)。変わらない小室さんとまたご一緒できて、すごく嬉しいです。小室さんの劇伴は、この映画に大きな力を注いでくださっていて、音楽に引きこまれる瞬間が沢山ありました。芝居だけでは伝わらないところを、小室さんの音楽に助けてもらっています。当時の小室さんと一緒にいた私としては、今までの小室さんのテイストとは少し変わって、大人っぽくて優しい雰囲気が出ていると感じます。この映画で、新しい小室サウンドが聞けると思います!
音楽を聞いた瞬間、当時を思い出して振り返られるような、素敵な映画になりました。とにかく感動、笑えて泣けて、すごく元気をもらえます。キャスト・スタッフが一致団結して、まさに「強い気持ちと強い愛」で作られたこの映画を、とにかく早く皆さまへお届けしたいです!
・大根仁監督のコメント
この映画の企画が立ち上がった時、脚本よりもキャスティングよりも、何より先に思いついたのは、小室哲哉さんに劇伴音楽をやってもらう!ということでした。色んなミュージシャンやバンドや音楽家たちとドラマ・映画音楽を作ってきましたが、今回ほど濃密で刺激的で緊迫感のある作業は初めてでした。90年代の大ヒット曲はもちろん、2018年の現在でも進化し続けるTKサウンドをご期待ください!この映画を観たら、誰しもが「引退してる場合じゃないでしょ!!」と思うはずです。マジでヤバいですよ。
・川村元気のコメント
本作において主人公たちの女子高生時代を描くときに、真っ先に浮かんだのは1990年代の「コギャル」でした。そこにいつもあったのは小室哲哉さんの曲だったと思います。まずはそこを中心に映画を組み立てていきたいと思い、楽曲提供をお願いしました。大根仁監督とは『モテキ』でJPOPミュージックを25曲使った映画を作り、『バクマン。』ではサカナクションに映画音楽すべてを作ってもらいました。大根監督と挑戦してきた「音楽と融合した映画」という意味で、本作はその集大成とも言える作品になったと思っています。
■1990年代と現代が交錯する、『SUNNY 強い気持ち・強い愛』。広瀬すずや池田エライザらも出演
『SUNNY 強い気持ち・強い愛』のあらすじは、がんで余命1か月の芹香と約22年ぶりに再会した主人公の奈美が、「死ぬ前にもう一度だけ、みんなに会いたい」という芹香の願いを叶えるため、高校時代の仲良し6人組グループ「サニー」のメンバーを再集結させようと奮闘するというもの。
平凡な専業主婦・奈美役を篠原涼子、サニーのリーダーで現在はビジネスで成功している芹香役を板谷由夏が演じるほか、豊かな暮しながらも夫の浮気に悩む裕子役に小池栄子、スナックで働く心役にともさかりえ、ブラック企業で働く梅役に渡辺直美、奈美の依頼でサニーのメンバーを探す探偵・中川役にリリー・フランキーがキャスティング。
1990年代を描く高校時代のパートには、転校生・奈美役の広瀬すず、『egg』に載ったことでモデルとなった奈々役の池田エライザ、カリスマ的存在・芹香役の山本舞香、成績優秀だが素行が悪い裕子役の野田美桜、ブランド品で身を固めた心役の田辺桃子、サニーのムードメーカー・梅役の富田望生、奈美の初恋の相手・渉役の三浦春馬が登場する。広瀬すずらが「コギャル」ファッションに身を包んでいる点も見どころだ。三浦春馬が演じる渉が、原作とは異なり「ロン毛」のDJという点も90年代らしさを感じる。
広瀬すずは同作について、「今回コギャルに挑戦ということで、いまを全力で楽しむというコギャルの心意気がとにかくすごくて。こんな風に女子高生が生きている時代があったということを知って、少し羨ましく思いました」とコメント。池田エライザは「とても大切に温められてきたこの作品に参加できることがとても幸せです。監督が時代背景や当時の価値観をクランクインまでに学ぶ機会をつくってくださったので、みんな良い感じにコギャルになれました」と手応えを語っている。
大根監督は「90年代中盤~後半の自分たちが生まれた時代の女子高生=コギャルを演じることは、かなり難しかったと思いますが、すずちゃんをはじめとする高校生サニーメンバーは見事に演じきってくれました。撮影現場で、ルーズソックス・細眉・茶髪の彼女たちを見ているうちにあの時代にタイムスリップしたような錯覚に陥りました」とコメントしている。
『SUNNY 強い気持ち・強い愛』は全国東宝系で公開。8月29日には小室哲哉によるオリジナル楽曲25曲を収録したサウンドトラックがリリースされた。