オーストラリア大陸の人気ツーリングカー選手権、VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーの第11戦が初開催のタイレム・ベンドで争われ、レース1を制したレッドブル・レーシング・オーストラリアのシェーン-ヴァン・ギズバーゲン(ホールデン・コモドアZB)が初代勝者に。また同じ表彰台にはリック・ケリー、マイケル・カルーソと2台のニッサン・アルティマも続いている。
VASC第11戦として8月24~26日に開催されたスーパースプリント“ザ・ベンド”は、今年新たに建設されたベンド・モータースポーツパークが舞台。そのこけら落としとなる1戦で最初のポールシッターとなったのは、現王者でSVGことギズバーゲンのチームメイトでもあるジェイミー・ウインカップ(ホールデン・コモドアZB)。
またフロントロウにはSVGも並び、レースを前にトリプルエイト・レースエンジニアリング勢とトラックの相性の良さを発揮する結果となった。
迎えたレース1はスタートから5周をウインカップがリードして静かな立ち上がりとなったものの、翌周にSVGへ首位を明け渡したところから現チャンピオンの歯車は狂い出し、直後には大ベテランのガース・タンダー(ギャリー・ロジャース・モータースポーツ/ホールデン・コモドアZB)がマシントラブルのためコース上にストップすると、その車両回収のためにセーフティカー(SC)が導入されることに。
このタイミングで続々とピットへと向かった上位集団だったが、首位SVGの背後に続いてボックスへと向かったウインカップはダブルピットの状態でSVGの作業を待つ形となり、コース上に復帰したときには2番手から8番手へと後退してしまう。
一方、ポジションドロップしたウインカップと対照的に、このSCピリオドに乗じて大幅に順位を上げたのがジェームス・コートニー(ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド/ホールデン・コモドアZB)で、25番グリッド発進の元王者は17台を出し抜いて8番手浮上に成功する。
その後も首位を快走する2016年王者SVGに対し、コートニーらとトップ10圏内のバトルを強いられたウインカップだったが、ここでもトリプルエイトのセッティング能力と初開催コースへの高い理解度に助けられ、選手権リーダーである最大のライバル、スコット・マクローリン(DJRチーム・ペンスキー/フォード・ファルコンFG-X)や、ティックフォード・レーシングの2015年王者マーク・ウインターボトム(フォード・ファルコンFG-X)らを相次いで仕留めて、ニッサン・アルティマ2台の後方4番手にまで上がってくる。
24周レースの終盤は大きな波乱なく、SVGは6周目の首位浮上以降一度もポジションを譲ることのない完勝劇で、タイレム・ベンド初代勝者としてその名を刻むことに。そして予選でマクローリンらを凌駕し、セカンドロウ3番手、4番手から戦いを進めてきたニッサン・モータースポーツ2台のアルティマも、2位ケリー、3位カルーソと続き、見事にダブルポディウムを獲得してみせた。
以下、4位ウインカップ、5位ウインターボトム、6位マクローリンのトップ6となり、今季から参戦の新興チーム23Red Racingのウィル・デイビソン(フォード・ファルコンFG-X)の7位に続き、コートニーも8位でフィニッシュしている。
続いて日曜に開催されたレース2では、前日のチームメイトの勝利に続いてウインカップがポール・トゥ・フィニッシュで今季4勝目を挙げ、SVGが2位に続いてレッドブル・レーシング・オーストラリアがワン・ツー・フィニッシュを達成。
一方のマクローリンは予選10番手からポジションを上げることなく41周のレースを終える低調な週末となり、ついにチャンピオンシップリーダーの座から陥落。19ポイント差で逆転のSVGが首位に立ち、マクローリン、ウインカップのランキング順に変わっている。
VASCの次戦はセカンドドライバー登録のペアリング・イベントとして争われる、年間4戦行われる“エンデュランス・カップ”初戦。9月14~16日開催のサンダウン500となり、明けた10月初旬にはシリーズ最大の祭典、バサースト1000が控えている。