トップへ

ル・マン24時間ウイナーのバンバーが語る鈴鹿10時間「日本チームももっと速くなる」

2018年08月30日 22:31  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

鈴鹿10時間にD'station Racingのドライバーとして参戦したアール・バンバー
8月24~26日に、鈴鹿サーキットを舞台に争われたインターコンチネンタルGTチャレンジ第3戦・第47回サマーエンデュランス 鈴鹿10時間耐久レース。このイベントには、海外からも多くのチームが参戦したほか、ワークスドライバーが派遣された日本チームも複数存在した。そのなかで注目の存在と言えたのが、藤井誠暢とスヴェン・ミューラーとともにD'station Racingの7号車ポルシェ911 GT3 Rをドライブしたル・マン24時間ウイナーのアール・バンバーだ。

 バンバーは1990年ニュージーランド生まれ。アジアを中心にフォーミュラをステップアップした後、2013年からポルシェカレラカップ・アジアに参戦。2014年にはカレラカップ・アジア、そしてヨーロッパで開催されている激戦のポルシェ・モービル1・スーパーカップを制しポルシェのワークスドライバーに抜擢されると、2015年・17年と、ポルシェ919ハイブリッドを駆りル・マン24時間を制している。

 今季もポルシェのファクトリードライバーとしてル・マン24時間やIMSAウェザーテック・スポーツカーチャンピオンシップなどに参戦しているバンバーだが、鈴鹿10時間にはD'station Racingの招聘に応え、藤井、そして同じくファクトリードライバーのミューラーとともに7号車をドライブした。

 実はバンバーは鈴鹿サーキットは初走行だったが、「鈴鹿でレースをするのは夢みたいなものだった」と8月23日の特別スポーツ走行1から、ウエット路面にもかかわらずラップをこなすと、2分16秒945というタイムをマーク。チームの武田敏明監督も、その習熟の早さを高く評価した。

 7号車はドライに転じた24日の走行から強いオーバーステアに見舞われていたが、藤井、ミューラーとともにセットアップを改良。アタックを担当した予選Q2のシュートアウトでも、トラフィックに引っかかってしまったものの、2分02秒916をマークしている。

 残念ながらレースではバンバーのドライブ中にオイルパンをヒットしてしまい、オイルプレッシャー低下からのエンジンストップを喫しリタイアに終わってしまったが、ピットに戻ったバンバーに、鈴鹿10時間の印象とチームの印象について聞いた。

「残念ながらリタイアだったけど、ファンタスティックなイベントだったと思うよ。今回が1年目の開催なのに、これだけの台数が集まっているのはすごいことだと思う」とバンバー。モビリティランド山下晋社長は、今季の目標についてフルグリッドを目指しており、それが達成できなかったことについて「アマクラスの参戦を増やせなかった」と語ったが、海外からの意見としては初年度からの35台参戦は“合格点”のようだ。

「今回のレースは、ナイトセッションがあるのが特別だよね。それにプロドライバーがたくさん集まっていて、レベルも高い。これから成長していくイベントだと思っているんだ。鈴鹿は世界的に見ても魅力的なサーキットだし、IGTCの一戦として相応しいと思う」

 また、今回のレースでは海外勢がトップ4を占める結果となったものの、日本のチームも上位進出の可能性は大いにあるとバンバーは言う。

「スーパーGTのチームにとっては、いつもと違うタイヤを使っているから、こういったレースに参戦するのは難しいと思うんだ。今回はワンメイクタイヤだし、ピレリはある種クセがある。ふだんスーパーGT用のスペシャルタイヤを使っているチームにとっては、やはりタイヤへの知識が不足していると思う」

「でも、こうしたタイヤに慣れることができれば、スーパーGTのチームはいい成績を出せるはずだ。D'station Racingに関して言えば、走り出しこそ苦しかったけれど、予選ではコンマ1秒速ければトップ10にいけたわけで、ファクトリーチームのマンタイ・レーシングと僅差だったはずなんだ。ピレリに慣れれば、もっと速くなれると思うよ」

 バンバーの指摘どおり、今回の鈴鹿10時間ではピレリを良く知り、鈴鹿も知るブランパンGTシリーズ・アジア参戦チームが強さを発揮した。今後日本チームもワンメイクタイヤでの戦い方を知る機会があれば、世界での活躍も増えるはずだ。