平木湧也(茨城トヨペット86レーシング) 2018 GAZOO Racing 86/BRZ Race 第6戦 プロフェッショナルシリーズ
若手平木湧也が6位入賞ベテラン勢に存在感を見せた
開催場所:十勝インターナショナルスピードウェイ
開催日:2018年08月19日(日)
シリーズチャンピオン争いにとっても重要な鍵を握る十勝での2連戦。その大きな変化は今シーズンここまでポテンザRE-07Dで戦い、シリーズポイントでもトップ3に入っている#17織戸学(DL)と#82谷口信輝(DL)が、ブリヂストン陣営から離れたことだ。
#34佐々木雅弘選手(ブリヂストン)を含めたその3名が、2018年チャンピオンの有力候補であり、その勢力図に大きな変化が起きたことになる。第4戦、第5戦と、連勝して北海道入りした佐々木の、過去にあまり結果を残せていない十勝スピードウェイでの走りが注目された。
エントリー台数は24台。しかし前戦富士スピードウェイでのトラブルの影響から2台が参戦せず、最終的に22台が北海道に上陸しレースを待っていた。
●予選
20分間で行われた予選では、タイヤ8本を有効に使うために、途中でタイヤ交換が行われた。最初のアタックでトップタイムをマークしたのは#82谷口。しかし、タイヤ交換後のセカンドアタックを成功させた#60服部尚貴(DL)がそれを上回る。さらに予選終盤にセカンドアタックに入った#31青木孝行(DL)がトップタイムを奪い、見事にポールポジションを獲得した。
しかし予選中にタイヤ交換をピット内で行ってしまいピット作業違反となり、服部、谷口、そして#80菅波冬悟(DL)が2グリッド降格のペナルティを受ける。そのため#1近藤翼(DL)が2番グリッド、3番グリッドは#97小河諒(DL)となった。ポールポジションから21位の選手までタイム差わずか0秒937という超接近戦を戦うことになる。
ブリヂストン装着勢は7位に#18平木湧也(ブリヂストン)、9位に#88井口卓人(ブリヂストン)、10位に#7堤優威(ブリヂストン)が入り、上位進出を狙った。
●決勝レース
ポールポジションからスタートした青木は、そのまま後続を引き連れて周回を重ねていく。2位は近藤、3位は小河というチームメイトコンビが、その後に続く。そのリードはレース前半こそ1秒前後だったが、終盤になるにつれて青木のペースが苦しくなり、ストレートで近藤に横に並びかけられるようなこともあった。それでもオーバーテイクが難しい十勝スピードウェイということもあり、青木は巧みなブロックでトップを守りきり、見事にポール・トゥ・ウインを果たした。
ブリヂストン装着勢では、若手の平木がベテラン勢を相手に奮闘し、6位で今シーズン2度目のポイントゲット。7位には井口、9位に堤、そして10位には4戦連続のポイント獲得となった#11脇阪寿一(ブリヂストン)が入り、トップ10に4台を占めた。
●コメント
プロフェッショナルシリーズで6位入賞を果たした#18平木のコメント
「1周目にポジションをひとつ落としてしまったのですが、その後取り返すことができました。その前の車両には、追いつきそうで追いつかない感じで、それ以上ポジションを上げることはできませんでした」
「ただタイヤはタイムの落ちが小さくて、0.5~0.6秒くらいの落ちでコンスタントに走ることができました。第7戦は12番グリッドからのスタートで、ちょっと後方になってしまいますが、タイヤのアドバンテージを上手く生かして順位を上げていきたいと思います」
2018 GAZOO Racing 86/BRZ Race 第6戦 クラブマンシリーズ
ロケットスタートを決めた橋本洋平が今季初優勝を果たす!
GR 86/BRZ Race恒例の北海道ラウンド、今年は北海道が最も観光客で賑わう夏休みの開催となった。十勝スピードウェイのレースは毎年、ユニークな設定となる。たとえば昨年はレースが2戦で、使用タイヤ本数は変則的な6本。予選で最初のレースのスターティンググリッドを決定し、次のレースのスターティンググリッドは最初のレースのベストタイム順というものだった。
今年は第6戦、第7戦のダブルヘッダーを、8月19日に開催するワンデーレース。予選は1回のみで、ベストラップが第6戦、セカンドベストが第7戦の決勝グリッドとなる。タイヤは本来の2レース分である8本とされた。
エントリー台数は28台。シリーズを通じて最も少ない数字ではあるが、それでも昨年よりも1台増えている。
●予選
日曜日の朝イチに開催された予選は、20分間で2つのレースのスターティンググリッドが決まる。しかもタイヤが8本まで使用可能なので、多くのドライバーは途中でタイヤ交換を行い、ベストタイム、セカンドベストのタイムアップを狙うことになった。そのため、予選開始直後にコースインしてタイムアタックを行い、ピットに戻ってタイヤ交換し、コースに戻ってタイムアタックをする、というドライバーがほとんどだった。
そうしたなかでひとり、#25水谷大介(ブリヂストン)だけは異なる戦略を選択していた。「これまでの予選でも、ポテンザRE-12Dは2周タイムアタックしてもタイムが出せることが分かっていたので、タイヤ交換しないことにしました」
予選中のトラブルを避け、また予想できない赤旗中断などのアクシデントを回避するために、予選中のタイヤ交換をしない選択をした。
水谷はほとんどの選手が最初のタイムアタックを終えつつあるタイミングでコースインすることで混雑を回避し、予選5位を獲得した。幸か不幸か、予選での大きなアクシデントは発生することなく、水谷がアドバンテージを得ることはなかった。しかし手元には予選で使用しなかったNEWタイヤが4本残されることになった。
予選ベストタイムでは、#305水野大(DL)、#0神谷裕幸(DL)、#70庄司雄磨(DL)がトップ3となった。それに続いた4位が#84橋本洋平(ブリヂストン)、5位に水谷という結果となった。
●決勝レース
強烈なロケットスタートを決めたのは橋本だった。4番グリッドからスタートし、1コーナーに入る前にトップを走る水野に並び、そのまま2台は並んでコースを進んでいく。そして4コーナー、水野はシフトが入らずにペースを失う。そのチャンスを生かした橋本がトップに立った。
「事前の練習走行でレースペースが有利なことは分かっていたので、淡々と走りました」という橋本のコメントとおり、後続を少しずつ引き離していく。レース終盤はペースを落として安全策を取るほどの余裕を見せ、橋本が今シーズン初優勝を手にした。
2位にはポイントリーダーである庄司、3位は1周目で順位を上げた水谷が入った。ブリヂストン装着勢は、予選7位から順位を上げた菱井將文(ブリヂストン)が4位に入り、トップ10に3台が入った。
クラブマンシリーズで今シーズン初優勝を飾った#84橋本のコメント
「とにかくスタートが決まったのが大きいですね。スタートがあれほど決まることはない! っていうくらいのスタートでした。それで1コーナーまでにはトップに並び、4コーナーで前に出ることができました」
「レースラップは良かったので、その後は淡々とトップを走ることができました。後半はアウト側をタイヤ1個分は余して走っていました。タイヤも後半までしっかりしていたので、午後の第7戦もこの調子で2連勝したいですね」
2018 GAZOO Racing 86/BRZ Race 第7戦プロフェッショナルシリーズ
井口卓人が今季初の3位表彰台。佐々木雅弘も王者の可能性を残す
●予選
予選でのセカンドベストでスターティンググリッドが決まる第7戦。プロフェッショナルドライバーにとって、予選アタック2本を揃えることは、それほど難しいことではない。ただしタイヤのパフォーマンスに左右される部分は大きく、予選では左側2輪だけ、あるいは4輪全てのタイヤ交換を行い、2回目の予選アタックへ臨んでいた。
結果、第7戦のスターティンググリッドは、トップが#82谷口信輝(DL)、2位が#31青木孝行(DL)、3位に#80菅波冬悟(DL)となった。そしてブリヂストン装着勢は、十勝を得意としている#88井口卓人(ブリヂストン)が5位、今シーズン初優勝している若手#7堤優威(ブリヂストン)が7位、十勝ではポールポジションの経験もある#90阪口良平(ブリヂストン)が8位、ベテラン#770山田英二(ブリヂストン)が9位、そして10位にはチャンピオン争いをしている#34佐々木雅弘(ブリヂストン)が入った。
軒並みベストタイムとなる第6戦の予選よりも、前のスターティンググリッドとなっており、クラブマンシリーズのRE-12D同様、ポテンザRE-07Dの安定した性能が証明された形だ。
●決勝レース
GR 86/BRZ Raceを戦うプロドライバーの中でもバトルスキルの高い谷口を、オーバーテイクの難しい十勝スピードウェイで攻略するのは困難だろう。レース前からパドックにはそういった声が上がっていた。しかし実際のレースでは、谷口の絶妙なブロックを見ることはできなかった。
スタート直後から2位スタートの青木の加速が悪く、谷口は易々とリードを作った。青木に代わって2位に上がったのは#97小河諒(DL)だったが、しかし本人も意味不明なほどペースが上がらず、3位以下を抑える形になってしまう。そのため谷口は余力を残したまま、安定したタイムで周回を重ね、4秒以上の差をつけてポール・トゥ・ウインを飾った。
3位には井口が入った。小河よりも明らかにペースに勝っていたものの、4位#1近藤翼(DL)の接近もあり、オーバーテイクには至らなかった。その他のブリヂストン装着勢は、佐々木が5位、山田が7位、予選14位から這い上がった#88久保凜太郎選手(ブリヂストン)が9位、阪口が10位となった。
●コメント
プロフェッショナルシリーズで今季初の3位表彰台に立った#88井口のコメント
「苦しいレースでしたけど、何とか表彰台に立つことができて、良かったと思います。ライバルのパフォーマンスが高くて、劣勢な感じでしたが表彰台のひとつは確保することができました。前のマシンのペースはよくなかったのですが、この十勝スピードウェイのコースではオーバーテイクが難しくて、抜くまでにはいかなかったですね」
「タイヤもまったく問題なかったので、抜いていれば、トップに追いつくことはできたと思います。この表彰台をキッカケにして、残り2戦をしっかりとレースしたいと思います。やっぱり1勝しておきたいですからね」
2018 GAZOO Racing 86/BRZ Race 第7戦クラブマンシリーズ
惜しくも十勝2連勝はならず! 橋本洋平、僅差の2位フィニッシュ
●予選
十勝2連戦の予選結果は、ベストタイムが第6戦、セカンドベストで第7戦のスターティンググリッドが決まる。1発のベストタイムだけでなく、2つのタイムを揃えることができたドライバーが第7戦を上位でスタートすることができる。
その第7戦のポールポジションは#0神谷裕幸選手(DL)、2位には#70庄司雄磨(DL)というシリーズポイントを争っているトップ2が並んだ。そして3位に#84橋本洋平(BS)が入った。実は橋本は、タイヤ交換した後のアタックでガス欠症状が出てしまい、最初のアタックで2周していたことで救われた。ポテンザRE-12Dが予選2アタックするポテンシャルを持っていることを、図らずも証明してみせた。
ブリヂストン装着勢は、5位に#25水谷大介(BS)、6位に#771菱井將文(BS)、9位に#713松原怜史(BS)と、いずれも第6戦よりも上位からのスタート。ポテンザRE-12Dが安定したパフォーマンスを発揮した結果だと言えるだろう。
●決勝レース
ポールポジションからスタートした神谷だったが、4周目に庄司にトップを奪われ、同時にオープニングラップで3位にまでポジションを上げていた菱井にも先行を許す。第6戦でもオーバーテイクを見せ、レースペースに勝っていた菱井は、庄司を追い詰めていく。
8周目、いよいよ庄司に並びかけた菱井だったが、スペースを失いコース外へ。そこで橋本が2位へ上がり、庄司攻略を交代した。ペースは明らかに橋本が勝っていたものの、オーバーテイクは難しく、わずか0.279秒差での2位となった。
菱井は3位、4位には水谷、8位に松原、10位には#13田中良平(ブリヂストン)が入り、ブリヂストン装着勢はトップ10に5台を占めた。
●コメント
クラブマンシリーズで3位表彰台を獲得した#771菱井将文(BS)のコメント
「スタートで競り合った時にコースの外に押し出されて、それからちょっと足がズレてしまって、クルマがしっくりしない感じになってしまったんです。橋本選手に先に行かれたのは、ボクがシフトミスしてしまって、3速から6速に入ってしまったから」
「どうもスタートの時の空気圧が高かったようで、天気が良くなって、日差しが強くなってきたでしょう。それでグリップが下がってしまって、これも自分のミスですね」
「トップのペースはそれほど良くなかったので、残念ですね。そういう意味では、3位にはなれたけど、レースとしてはしっくりしない感じになってしまいました。次のもてぎは頑張りますよ」