ランス・ストロールが新生フォース・インディアF1チームへ移籍した場合、ウイリアムズのドライバーラインアップがどう変化するのか注目されるなか、ふたりのロシア人ドライバーが候補として取りざたされている。
サマーブレイクの間にランス・ストロールの父親で富豪のローレンスが率いる投資家コンソーシアムがフォース・インディアを買収し、消滅の危機から救った。現在ウイリアムズで走るランスは、2019年、あるいは今シーズン中にフォース・インディアに移籍するものとみられている。
「ランスがどこかの時点で私たちのチームからレーシング・ポイント・フォース・インディアへ移籍することは間違いないでしょう」と今週ウイリアムズチームの副代表を務めるクレア・ウイリアムズはドイツのmotorsport-magazin.comに語った。
「ですが今のところ確実なことは決まっていません」
もし移籍が現実となるならば、ストロールはエステバン・オコンに取って代わる可能性が高いと考えられている。一方でウイリアムズは、ストロールの後任に資金力のあるふたりのロシア人ドライバー、アルテム・マルケロフとニキータ・マゼピンを候補として検討しているとのうわさが持ち上がっている。
F2ドライバーのマルケロフは、ハンガリーGP後のF1合同テストでルノーからF1テストデビューを果たした。彼はF1グリッドに空きが出た場合に自分が候補として検討されることを期待している。ウイリアムズでのシート獲得の可能性について聞かれたマルケロフは「彼らが僕に注目しチャンスを与えてくれることを期待している」とロシアのSportboxに対し語った。「そのうち分かるだろう」
一方、現在GP3に参戦し、フォース・インディアの育成ドライバーでもあるニキータ・マゼピンも、F1参戦を狙っている。彼もハンガロリンクで行われたインシーズンテストで、フォース・インディアのF1テストを担当した。
マゼピンの父親であるドミトリーは、ロシアの化学企業PJSCウラルカリとビジネス上の密接な繋がりがある。ウラルカリ社はフォース・インディア買収の入札に参加して敗れた企業のうちの一社だ。この数カ月パドックで彼の姿がよく見かけられており、ベルギーにも現れたといわれている。
マルケロフの父親も財政力があり、息子が所属するF2チーム、ロシアン・タイムにかなりの支援を行っている。
つまり、マルケロフもマゼピンも、ストロールの代わりにウイリアムズに十分な資金を持ち込むことが可能なドライバーであるといえるだろう。
■ウイリアムズF1副代表はチームの危機を否定
ウイリアムズは、現レースドライバーのセルゲイ・シロトキンを支援するSMPレーシングからも多額の出資を得ているが、今シーズン末でタイトルスポンサーであるマルティーニを失うこともあり、2019年の財政状況が懸念されている。しかし副代表のクレアは、ウイリアムズは危機に瀕してなどいないと主張した。
「ローレンス・ストロールは主要な投資者ではありませんでした」とクレアは述べている。
「ウイリアムズはローレンスが私たちと契約する以前の、38年前からF1に参戦していますし、彼が去った後もさらに長きにわたってF1に参戦し続けるでしょう」
ストロールがシーズン途中でウイリアムズを去る場合、リザーブ兼開発ドライバーのロバート・クビカがレースドライバーに昇格する可能性もあるとみられるが、長期的に考えた場合、大きな資金力を持たないクビカは、再びレースシート争いに敗れるのではないかと推測されている。