メルセデスF1チーム代表トト・ウォルフは、ルイス・ハミルトンにタイトルを獲得させるため、チームメイトのバルテリ・ボッタスにサポート役を務めるよう指示するかどうかを決断する時期が近づいていると認めた。
2018年シーズンにおいて8戦を残す現在、ハミルトンはセバスチャン・ベッテルにドライバーズ選手権で17ポイント差をつけて首位にいる。しかし先週末のベルギーGPではフェラーリの方がパフォーマンスが間違いなく優れており、メルセデスは敗北を喫した。今週末のイタリアGPでもメルセデスはフェラーリを相手に苦しい戦いを強いられるものと予想される。
ウォルフは、イタリアGPのレースの結果によっては、ボッタスにチームオーダーを発令し、彼自身の優勝争いよりもハミルトンのタイトル争いを補助することに集中するよう指示せざるを得ない可能性があることを認めている。
「そんなことはしたくない」とウォルフはチームオーダーの可能性について聞かれて答えた。「それは私のレース本能にまったく反することだ。我々はふたりのドライバーに対して完全に中立でいたいと思っている」
「チームオーダーを出したことはない。まだ出してはいない。そのことについてまだ議論もしていない」
「モンツァでの結果がどうなるかを見てみよう。その上で、すべての戦力をひとりのドライバーに注ぐかどうかという問題に対処することになるだろう」
「しかし現時点では、ふたりのドライバーとF1のため、レースで干渉すべきではないと考えている」
■ボッタスは「素晴らしいサポート役」と称賛されて反発
実際は、メルセデスは2018年に入ってから少なくとも1戦、すでに“干渉”している。メルセデスはドイツGPの終盤、ボッタスにハミルトンの後方の位置を維持するよう指示したのだ。
しかしながら、それは気の抜けない状況下で、確実にワンツーを確保するための、一回限りの指示だとみられていた。
ボッタスは一貫して、彼がメルセデスの“ナンバー2ドライバー”であるという言説を否定しており、ハンガリーGPでハミルトンの首位の座を守るために助力した際、ウォルフから“素晴らしいサポート役”と呼ばれた時には不満を示した。
しかしドライバーズおよびコンストラクターズの両選手権ともメルセデスとフェラーリの接戦となっており、シーズンは緊迫したクライマックスに向けて進もうとしている。ボッタスがサポート役を引き受けなければならなくなるのも時間の問題かもしれない。
現在ボッタスはドライバーズ選手権で4位に位置し、3位のキミ・ライコネンとの差はわずか2ポイントだが、ハミルトンには87ポイントの差をつけられている。
スパでボッタスがグリッド後方から4位まで追い上げ、ライコネンがリタイアを喫したこともあって、コンストラクターズ選手権に関しては、メルセデスのアドバンテージが広がった。
ベッテルとハミルトンのふたりは今シーズンこれまでに5度の優勝を飾っているが、彼らのそれぞれのチームメイトは一度も優勝していない。
昨年、メルセデスでの最初のシーズンを迎えたボッタスは、ロシアGP、オーストリアGP、アブダビGPで3度優勝を達成、ポールポジションは4回獲得した。