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WEC富士プレビュー:レーシングカー技術の頂点。トヨタTS050はハイブリッド耐久マシンの最高傑作

2018年08月30日 12:31  AUTOSPORT web

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トヨタTS050ハイブリッドはレーシングカー技術の頂点を極めたといっても過言ではない1台
“スーパーシーズン”第3戦までが終了した2018/19年のWEC世界耐久選手権。10月12~14日に行われる第4戦の舞台となるのは、霊峰富士の麓に位置する富士スピードウェイでの1戦、WEC富士6時間耐久レースだ。今回は最上位のLMP1クラス唯一のワークスマシンであるトヨタTS050ハイブリッドにフォーカスする。

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 トヨタTS050ハイブリッドは、ハイブリッド耐久レーシングカーの最高傑作と呼べるマシンである。過去にはアウディやポルシェもハイブリッドのLMP1を開発し、トヨタに先んじてル・マン優勝を果たした。

 しかし、絶対的なパフォーマンスおよびスピードに関しては、TS050こそが頂点に立つマシンと言って良いだろう。2017年のル・マン24時間予選では、小林可夢偉のドライブにより3分14秒791というコースレコードを記録。

 また、トラブルやアクシデントで優勝こそ逃したが2016年、2017年とライバルを上まわる速さでサルト・サーキットを駆け抜けた。そして2018/19年は、ハイブリッド搭載のライバルこそ不在だったが、大きなトラブルなく24時間全力で走り続けた8号車が、悲願のル・マン初優勝をトヨタにもたらした。

 TS050のパワートレーンは、2.4リッターV6直噴ツインターボ・エンジンに、THS-R(トヨタハイブリッドシステム・レーシング)を組み合わせている。

 最大の特徴は、ブレーキングの際にモーターを発電機として回し、その抵抗力で減速。生み出した電力をリチウムイオン電池に蓄え、必要に応じて随時放出する『運動エネルギー回生システム』を採用していることだ。

 基本的な考え方は市販車のプリウスと同じで、トヨタこだわりのシステムである。本来ならブレーキパッドとディスクの摩擦で熱に変換し捨てるべきエネルギーを、電気エネルギーに変える非常に効率的な方式なのだ。

■全輪駆動のTS050ハイブリッド、加速力には現役F1ドライバーのアロンソも驚嘆

 では、回生した電気がモーターを介しどれくらいのパワーとして放出されるのかというと、最大で500馬力に達する。規則によりル・マンでは最大408馬力に制限されるが、エンジンが発する500馬力と合わせると瞬間的には908馬力というハイパワーを発揮するのだ。

 しかもTS050ハイブリッドは前後にモーターを配置し、前輪をモーターで駆動する全輪駆動車である。そのためコーナーの立上がりではパワーが効率良く4輪に分配され、圧倒的な加速力を示す。そのとてつもない加速には、現役F1ドライバーであるフェルナンド・アロンソも驚いたというから、相当なものだろう。

 また、前後輪の駆動をモーター制御で細かくコントロールできるため、ハンドリングのセッティング領域も幅広い。

 LMP1ノンハイブリッド勢との性能差を縮めるため、今シーズンのTS050ハイブリッドはその大部分を2017年仕様から踏襲した。ただし、規則で許されている部分については改善が進められ、2017年仕様ではリチウムイオン・バッテリーの耐熱温度が、従来の85度から95度に向上している。

 その結果、冷却系を従来よりも簡略化することが可能となり、よりシンプルで軽量なシステムとなった。外観的には昨年と変わっていないように見えるが、ハイブリッドシステムは着実に進化しているのである。

 エアロダイナミクスは、ごく一部を除き2017年仕様と大きく変わらない。TS050ハイブリッドのシャシー開発を担当するドイツのTMG(トヨタ・モータースポーツGmbH)は、トヨタがF1に参戦していた時代から空力開発能力で高い評価を受けていた。

 活動をWECに移してもそれは変わらず、トヨタの歴代WECマシンはつねに高い空力性能を備えていた。そして、その究極の姿がTS050ハイブリッドである。もちろんF1も空力性能は非常にハイレベルだが、タイヤとドライバーが露出しているため、抵抗(ドラッグ)もかなり大きい。

 その点、WECのTS050ハイブリッドは全体がカウルで被われているため、ドラッグを可能な限り低く抑えながら、マシンを路面に押し付ける力=ダウンフォースを高めることができる。つまり、TS050は究極のエアロマシンなのである。

 先進的なハイブリッドシステムと併せ、レーシングカー技術の頂点を極めたTS050ハイブリッドの走りは、一見に値する。

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 WEC第4戦富士の概要やチケット情報など、詳しくは富士スピードウェイの公式ホームページまで。