西川産業は8月28日、1万人の睡眠事情を調査した「東京西川 睡眠白書2018」の調査結果を発表した。調査は今年7月にWEBで実施。日本全国に居住する18~79歳男女3000人から回答を得た。
世界保健機関(WHO)が設立した「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」作成の世界共通の不眠症判定法「アテネ不眠尺度」の基準に則り、被験者の「不眠症の疑い」について聞くと、約半数の49.3%の人が「不眠症の疑いあり」という結果だった。
睡眠の質についての満足度を聞くと、「満足」と答えたのはわずか31.8%に留まり、約7割の人が「自分の睡眠に不満がある」と答えた。年代別に見ると、最も不満が多かったのは男女ともに40代(76.4%)で、次が30代(74.8%)だった。働き盛り・子育て世代が満足に睡眠をとれていないという実態がわかった。一方で、これらの負担から解放される60代以上では著しく満足度が上昇していた。
睡眠の質を悪くする要因1位は「精神的な疲労」
「総睡眠時間が自分の理想に比べて足りているかどうか」と聞くと、「少し足りない」(46%)が最も多く、「十分である」と答えたのは34.9%に留まった。こちらも、「足りない」と回答した人の合計は40代が73.9%で一番高かった。
加齢とともに、睡眠の質は低下するが、これらの結果を見ると、睡眠の質低下は社会的ストレスによる影響が大きいことがうかがえる。
「心身ともに疲れた一日」「肉体的に疲れた一日」「精神的に疲れた一日」「標準的な一日」「心身ともにゆったりした一日」のそれぞれで、睡眠の質に関する満足度を聞いた。その結果、最も満足度が高かったのは「心身ともにゆったりした一日」(66.8%)、次いで、「肉体的に疲れた一日」(53.9%)、「精神的に疲れた一日」(38.8%)、「心身ともに疲れた一日」(38%)だった。睡眠の質を悪くする要因は「肉体的な疲労」よりも「精神的な疲労」にあるようだ。
同社の社内研究機関、「日本睡眠科学研究所」は
「起きている時に比べ、睡眠時は緊張時やストレスを受けたときに働く交感神経活動が低下し、リラックスしているときに働く副交感神経が優位となる。特に深い睡眠の時はこの傾向が強い事が知られているが、精神的な疲れは交感神経を優位にさせ睡眠の質を低下させている可能性がある。(中略)そうならないためにもまずは眠る前に心身をリラックスさせて質の良い睡眠をとることが大切である。」
とコメントしている。
夫婦円満の人の方が睡眠の満足度も高い
悩み事が原因で眠りにつくことが難しかった時の「悩みの種類」について聞くと、1位「将来に関する悩み」(23.9%)、2位「健康に関する悩み」(18.2%)、3位「金銭面での悩み」(18.1%)となった。男女別に比較すると、男性は「仕事」に関連した悩みが多く、一方で女性は「生活・家族」のことなど、男性に比べて悩みの種類が多岐にわたっていた。
健康に対する向き合い方と、睡眠やその他の生活習慣について聞くと、「重要性を感じていながら満足出来ていないこと」の上位に挙がったのが、「睡眠の質」や「睡眠環境の良さへの配慮」であることがわかった。
既婚者に、「今の睡眠に満足しているか」を聞くと、「十分に満足」と答えた中の63.5%が夫婦円満と回答した。一方で「全く満足していない」と答えた中で夫婦円満との回答は39%に留まり、「睡眠の満足度」と「夫婦仲の良さ」に相関関係があることがわかった。