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物語における重要な存在に 『グッド・ドクター』や『義母と娘のブルース』に見る子役たちの活躍

2018年08月30日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 現在放送中の多くのドラマで、子役が重要な役どころを演じている傾向が見られる。先日、第71回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した是枝裕和監督の『万引き家族』においても、子役2人の演技が現地でも絶賛されていた。芦田愛菜や鈴木福が活躍した“子役戦国時代”を経て、現在もまた子役たちの活躍に注目集まっているようだ。


【写真】『義母と娘のブルース』幼少期の“みゆきちゃん”を演じた横溝菜帆


 NHKの連続テレビ小説『半分、青い。』は、朝ドラには珍しく、幼少期編が2週に渡って放送されたことでも話題になった。同作で、佐藤健が扮する律の幼少期を演じていた高村佳偉人は、6月に公開された映画『空飛ぶタイヤ』に長瀬智也の息子役として、また現在放送中のドラマ『チア☆ダン』(TBS系)にもオダギリジョーの息子役として出演。『チア☆ダン』では、オダギリジョーの妻役を演じている松本若菜とともに、母と息子で父親を励まし、背中を押していくような役どころを演じている。同じく『半分、青い。』では、永野芽郁演じる鈴愛の娘“カンちゃん”として、子役の山崎莉里那が出演。番組の公式サイト(https://www.nhk.or.jp/hanbunaoi/special/heroine/09.html)で永野が「莉里那ちゃんはすごいよ! その年で長いセリフまで完璧に言えて、本当にすごいと思います」と絶賛している山崎は、明るい性格で笑顔を絶やさず、いろんな物事に興味を持つ好奇心旺盛な表情を見せている。


 小児外科を舞台にしたドラマ『グッド・ドクター』(フジテレビ系)では、子役が大勢出演。『万引き家族』で長男役を演じた城桧吏も第5話に出演しており、特に毎回ゲストとして登場する子役たちの演技には注目が集まっている。また、病院内では有名なヤンチャ・トリオの1人として出演しているのが川島夕空だ。2015年の朝ドラ『花子とアン』(NHK)に出演した川島は現在、教育的エンターテインメント番組『みいつけた!』(NHK Eテレ)にスイちゃん役として出演中。『グッド・ドクター』では、病衣を身にまといながらも、笑顔で院内を明るく照らす役割を担っている。


 そして、多くの視聴者に惜しまれつつも、第1章で姿を消したのが『義母と娘のブルース』(TBS系)で宮本みゆきを演じた横溝菜帆。6度にわたるオーディションでみゆき役に選ばれた横溝は、ネット上で「子役のみゆきちゃんが見られなくなるのがちょっと寂しいです」と声が上がるほど、視聴者にその印象を残す存在となった。義母である亜希子(綾瀬はるか)を認められずにいた当初は、負けず嫌いな性格から亜希子を睨んだり怒ったり、その気持ちを表情で表現。そのようなみゆきの純粋な喜怒哀楽の表情により、父と義母と子の関係性の変化が丁寧に表現されていた。


 また、最新話の放送でショッキングなシーンが映し出された日曜劇場『この世界の片隅に』(TBS系)で、尾野真千子が演じる径子の娘・晴美役を務めている稲垣来泉。尾野は、番組公式サイトに掲載されているインタビュー(http://www.tbs.co.jp/konoseka_tbs/intv/)で「演技に関しては大人たちが思っていることを一生懸命考えて、周りをよく見てやっています。すごく賢い子」と稲垣について明かしている。戦争下ながらも、すず(松本穂香)とともに、健気な雰囲気で、どこかほのぼのとした世界観を作っていた。


 子役の登場の仕方のほとんどは、メインとなる主人公たちの幼少期シーンだと言えるだろう。だが、今期のドラマでは、幼少期が長く描かれていたり、登場人物として出演し続けていたりと、子役それぞれの存在が視聴者に強くインパクトを残している。物語の中では、どの子役が演じるキャラクターも、大事な登場人物の1人として存在しているのだ。幼い頃から実力ある役者に囲まれ、彼らから影響を受けて経験を積んでいくことで、今後、大物役者に化けていく子役たちもいるのだろう。


(大和田茉椰)