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長濱ねるの物語性と安定感。NHKソロ冠番組も獲得した欅坂46「裏センター」

2018年08月29日 17:41  CINRA.NET

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長濱ねる
■長濱ねるが帰ってきた。七夕に「ひらがなけやき」と一夜限りの再会
七夕に千葉・幕張メッセで開催された音楽イベント『LIVE MONSTER LIVE 2018』で、昨年7月の『ひらがな全国ツアー』愛知公演以来およそ1年ぶりに長濱ねるがけやき坂46に帰ってきた。そこでは「けやき坂46 七夕SPゲスト長濱ねる ~一夜限りの再会~」として長濱ねるとけやき坂46とのコラボが披露されたほか、イベントと連動して長濱ねる初主演、鈴木おさむ脚本のドラマ『七夕さよなら、またいつか』(日本テレビ)が2週にわたって放送された。

この日は平手友梨奈が約半年ぶりに欅坂46に合流した日でもあるが、一夜限りという意味で長濱ねるとけやき坂との再会はより「七夕的な」、つまり物語性を帯びた出来事として映る。

■長濱ねると、けやき坂46。あらかじめ物語性を帯びた、欅坂への異例の加入経緯
欅坂46のオーディション最終審査当日に、故郷の長崎から上京してきた母親に連れ戻され、審査を辞退することになった長濱ねるは、他のメンバーから約3か月遅れとなる2015年11月に欅坂46に加入した。2次審査の時点での評価は、2万人以上の応募者のうち数人にしか与えられない「S」だったという(『週刊プレイボーイ 2018年4月30日号』所収「けやき坂46ストーリー」)。そして欅坂46への加入と同時に、1人異なる制服を着た長濱ねるだけで結成されたけやき坂46との兼任活動が始動した。

そうした経緯もあって、長濱ねるは欅坂46のデビュー曲“サイレントマジョリティー”の歌唱に参加していない。その代わりにデビューシングル『サイレントマジョリティー』には、長濱ねるがセンターのユニット曲“乗り遅れたバス”が収録されている。「アイドルは物語」と言われるが、長濱ねるは加入時点で既に「物語」を持っていた。だから長濱ねるは語られる。

けやき坂46との兼任は、2017年9月に「漢字欅の稼働もさらに多忙を極め」たことにより、解除されたが、長濱ねるの「ほわん」とした雰囲気は、けやき坂46が掲げる「ハッピーオーラ」という形で確かに継承されている。

■長濱ねるの安心感・安定感。平手友梨奈を真後ろから支える「裏センター」は欅坂の「かわいい」を担う
欅坂46の様々な活動において長濱ねるが休むことは滅多にない。たとえ欅坂46の冠番組『欅って、書けない?』に姿がなかったとしても「今日は別の仕事頑張ってるのかな?」と思わせる安心感安定感があり、“アンビバレント”“ガラスを割れ!”“風に吹かれても”“二人セゾン”といったタイトル曲で俗に「裏センター」と呼ばれる平手友梨奈の真後ろのポジションを任されていることもあって、どこか「危なっかしさ」が漂う欅坂46を支える中心的な役割を担っているようにも見える。

それと同時に、最新シングル『アンビバレント』に収録された長濱ねる、小池美波、尾関梨香によるユニット曲“音楽室に片想い”や、同一ユニットによる“バスルームトラベル”のPVを再生すれば、押し寄せる「かわいさ」の暴力で打ちひしがれることになるように、「クール」な欅坂46の「かわいい」部分を担う中心的人物の1人でもある。

■個人でも高露出を誇る、欅坂46の広報担当。ソロ写真集はベストセラー、NHKでのソロ冠番組も
昨年12月には長崎・五島列島を中心に撮影が行なわれた初の写真集『長濱ねる1st写真集ここから』が刊行された。かつて、どこにも1度たりとも存在することなく失われてしまったあの夏の欠片を閉じ込めたような『ここから』は、8月の時点で9度の重版、累計発行部数19万部を記録している。この記録は「#長濱ねる50音チャレンジ」といった企画や、それだけでもう1冊作れてしまうほどのオフショットの連投といった写真集公式Twitterアカウントの「中の人」の巧みな宣伝活動によるところも大きいと思うが、写真集アカウントに限らず、2週にわたって放送された初の冠番組『ねるねちけいONLINE!』(NHK総合)でも連日「ねる動画」が投稿されるなど長濱ねるは周囲の「大人」たちからも愛されているように思う。

だから欅坂46が限られた人数でメディア露出するときには高頻度で長濱ねるが選出され、その際コメントを求められることも多く、ここ半年ほどに限定しても長崎市観光大使就任をはじめ、『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ)や、『くりぃむクイズ ミラクル9』(テレビ朝日)といったバラエティー番組への出演、さらに薄毛治療のための専門病院・AGAヘアクリニックのCMへの初の単独起用など次々と個人仕事が舞い込んでいる。また読書家としても知られる長濱ねるは、『Quick Japan vol.139 特集 西加奈子』のインタビューで西加奈子作品について語っているほか、表紙にも登場している。愛されているから起用される、起用されるからよりいっそう愛される、だから再び起用されるという麗しい循環がここにある。

「初」主演、「初」ソロ冠番組、「初」ソロ写真集、「初」単独CM出演など様々な「初」を更新し続ける長濱ねるの飛躍は留まるところを知らない。(文:原友昭)