2020年から3年間の契約で、スタンダードECUの供給を担うサプライヤーの入札が開始された TCRシリーズを統括するワールド・スポーティング・コンサルティング(WSC)は、2020年シーズンから世界各国、各地域で開催しているTCRシリーズに“スタンダードECU”導入のプランを発表。2018年9月中の決定に向けてサプライヤーを公募するとアナウンスした。
WSC.Ltd,.より8月21日付で発表されたTCRシリーズの共通ECU構想は、各シリーズの技術部門がレースウイークに現場で実働する際「TCRマシンがテクニカルレギュレーションに合致しているかどうか、エンジン性能とTCR規定の確認手順が非常に明確化」され、技術委員の確認作業を助けるための対策だと位置づけられている。
このスタンダードECUはすでに世界中の国や地域で開催されているTCRシリーズへの展開はもちろん、2018年からスタートした最高峰シリーズ、WTCR世界ツーリングカー・カップでも採用されることとなる。
2014年にTCRのレギュレーションが発行されて以降、すでに700台以上のTCRマシンがデリバリーされていると言われおり、スタンダードECUサプライヤーにはその全車両に適合する共通ECUの開発・製造が求められる。
6月に開催されたWTCRの第6戦スロバキア・ラウンドでは、全4台が参戦するヒュンダイi30 N TCRのうち、ブースト圧規定の解釈を巡って予選で3台のマシンがリザルト除外となり、その後金曜夜にはマシンからECUが押収されるという事態も発生しており、ECUの運用に関してさらなる透明性を望む声が挙がっていた。
現在のTCR規定ではECU選択は自由となっており、各マニュファクチャラーが独自のソフトウェアを選択し開発しているが、テクニカルレギュレーションの条項6.4にはECUセンサーの「操作、改良、切断を禁じる」と記されており「ソフトウェアとすべてのデータセットは凍結され、上書きすることはできない」状態となっている。
新たなスタンダードECUの供給に向けて、WSCはすでにサプライヤー入札の公募を開始しており、申請締め切りは9月17日を予定。その後、審査を経て9月30日にはスタンダードECU供給サプライヤーが発表されるスケジュールとなっている。
WSCはこのサプライヤー選抜の責任と重要性に関して「2020年から2023年シーズンにかけて、TCRシリーズ、チャンピオンシップ、カップ、あらゆるクラスの競技車両に対して充分な量と質でデータロギングシステムとTCRスタンダードECUを供給できる能力を有し、かつその開発、製造能力を持つサプライヤーが望ましい」としている。
現時点で、WSC.Ltd,.とユーロスポーツ・イベント、そしてFIAが統括するWTCRの3者による合意により、現行のTCR規定は2019年末まで有効となっているため、スタンダードECUは規定更新にあわせて導入される見込みだ。