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安倍首相の「薩長同盟」発言で枝野氏が再度苦言 「保守を自認する人は奥羽越列藩同盟側から見た歴史にも関心を持って」

2018年08月29日 12:51  キャリコネニュース

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安倍晋三首相の「薩長同盟」発言が物議を醸している。安倍氏は8月26日、視察に訪れていた鹿児島市内で、9月に行われる自民党総裁選への出馬を表明。その際、自身の地元である山口県と、訪問していた鹿児島県という土地にちなみ「しっかり薩摩と長州で力を合わせ、新たな時代を切り開いていきたい」と語った。

しかし、戊辰戦争では薩長を中心とする新政府軍が、会津藩を中心とした旧幕府軍と熾烈な争いを繰り広げ、激戦地となった会津では多くの犠牲者が出た。

首相の発言を受け、立憲民主党の枝野幸男代表は27日、新潟県内で「我が国を分断するような言い方」と苦言を呈した。自身のツイッターでも28日、改めて配慮を呼びかけた。

「リップサービスで済ますことのできない思いの方がいると知りながら、スルーできない」


枝野氏は、首相の薩長同盟発言を「単なるリップサービス」と言う人がいると指摘。東北大学出身ということもあってか、

「私は、大学で東北地方に行き、また、たまたま妻の母親が会津出身ということで、いまだに語り継がれている戊辰戦争への思いというものを大人になって知りました」

と、戊辰戦争敗者側の感情について言及した。

戊辰戦争では、現在の東北地方や北海道、新潟県の諸藩が奥羽越列藩同盟を組み、新政府軍である薩長と戦った。戦争が終わった後、新政府は幕府側に付いた会津藩などを「賊軍」と扱ったこともあり、旧会津藩と旧長州藩との間には今でも遺恨があると言われている。

2018年は戊辰戦争終結から150年にあたる。国は、「明治150年」として記念硬貨の発行やイベントの実施など、様々な取り組みを行っている。ただ、旧会津藩にあたる福島県会津若松市、旧二本松藩の二本松市、旧白河藩の白河市などでは「明治150年」のフレーズは一切使われていない。各自治体は「戊辰150周年」として独自のイベントを実施している。

こうした事情から枝野氏は、安倍首相の発言について

「どこに住んでいる方でも多様な意見があり、余計なお世話かもしれませんが、リップサービスでは済ますことのできない思いの方が少なからずいることを知りながら、スルーすることはできません」
「多くの皆さんに、特に『保守』を自認される方には、奥羽越列藩同盟などの側から見た戊辰戦争や明治維新の歴史にも関心を持っていただきたいと思います」

と配慮を求めていた。