ABBフォーミュラE選手権にワークスチームとして参戦しているパナソニック・ジャガー・レーシングは、2017/18シーズンのフォーミュラEを戦った『ジャガーI-Type2』で“世界最古のモータースポーツ・イベント”と呼ばれるシェルズリー・ウォルシュ・ヒルクライムに参戦し、電気自動車によるコースレコードを樹立した。
イングランド東部ウスターシャー州にある小さな街レディッチに位置し、8月12日の開催で113年の歴史を迎えた世界的に有名なヒルクライム・イベントに、パナソニック・ジャガー・レーシングが参戦。チームのワークスドライバーを務めるニュージーランド人、ミッチ・エバンスがこの伝統のイベントで『ジャガーI-Type2』のステアリングを託された。
チームのテクニカルパートナーも務める自動車用駆動系部品のサプライヤー、GKNドライブラインとのジョイントプロジェクトとして、この歴史あるイベントのEVレコードを更新を目指して行われたチャレンジは、結果的にこれまでのEV記録を6.84秒短縮する30秒46を記録し、電気自動車クラス新記録樹立となった。
フォーミュラEワークスマシンである『ジャガーI-Type2』にとって、イングランドでの公式なイベントデビューとなったヒルクライム参戦について、長年シェルズリー・ウォルシュの公式サポーターとしても競技車両のドライブトレーンを開発・提供してきたGKNテクノロジーセンターのゴードン・デイは「パナソニック・ジャガー・レーシングと我々のパートナーシップにより、ジャガーI-Type2のパフォーマンスを示せて光栄だ」と、喜びの言葉を述べた。
「ピュアEVの驚異的かつ新たな可能性を、こうして新記録という形で多くのファンや愛好家に示せたことは最高の栄誉だ。ジャガーI-Type2にとっても最高のUKデビューになった」
一方、ワークスEVマシンのシートに座ったエバンスも「こんな歴史的な場所で、ジャガーのI-Type2をドライブできるなんて本当に名誉なこと」と、大役を終えて笑顔で振り返った。
「チームはここでエレクトリックマシンの新たなレコードタイムを樹立したことを誇りに思うべきだ。イギリスのフォーミュラEファンは僕たちを大歓迎してくれた。ここでデビューランしたマシンの姿を、とても喜んでくれたと思う」
同大会を主催してきたミッドランド・オートモービル・クラブの会長、アントニー・ハーパーも「シェルズリー・ウォルシュ・ヒルクライムの113年に渡る歴史において、これほど高度なエレクトリック・レースカーの参戦を実現できたことは素晴らしい成果だ」と語った。
「ジャガーI-Type2がヒルクライムコースを駆け上がり、エレクトリックマシン・レコードを更新したのは象徴的な出来事だ。このマシンのUKデビューの場となったことを誇りに思うし、GKNドライブラインとパナソニック・ジャガー・レーシングが、将来にわたってこの記録を更新し続けてくれることを願っている」
2018/19年シーズンに向けても技術パートナーを務めるGKNドライブラインとジャガーの関係は、古のSSジャガー100の時代までさかのぼり、ル・マン優勝車のC-Typeや1990年代のスーパーカー、XJ220にもGKNが駆動系のサプライヤーを務めてきた。
現代の市販ロードモデルのラインアップでも、GKNがCVジョイントやオールホイールドライブの技術を提供しており、来季の新型フォーミュラEマシンにも、そのノウハウや新技術が提供されることになる。