F1シーズンを転戦していると、いろいろな人との出会いがある。そんな人たちに、「あなたは何しに?」と尋ねる連載企画。週末のF1第13戦ベルギーGPに訪れたのは現在スーパーフォーミュラで活躍中の松下信治だ。
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F1第13戦ベルギーGPが開催されてたスパ-フランコルシャンに、松下信治が来ていた。
「スーパーフォーミュラが9月8日までレースがないので、(ホンダ、モータースポーツ部)山本(雅史)部長に頼んで、F1へ行くパスを出してもらいました。日本にいても仕方ないし、(ヨーロッパのレースにも)顔を出しておかないといけないと思って来ました」
松下がF1のパドックを訪れるのは、昨年のアブダビGP以来。約9カ月ぶりとなるF1も「つい昨日のような感じだった」という松下の周りは知っている顔が少なくなかった。
ピットレーンに行くと、GP2時代にARTでレースエンジニアを務めていたギヨーム・カピエトの元を訪れ、握手を交わしていた。F2のフリー走行が始まる前には、福住仁嶺を激励に行った。
松下は「いま大切なことは、スーパーフォーミュラで速さを示すこと」だと言う。「まだ勝っていないので、まずはスーパーフォーミュラで勝つことです」
そのスーパーフォーミュラには、8月のもてぎ戦で、レッドブルのアドバイザーを務めるヘルムート・マルコが視察に来ていた。そこで松下はマルコと話をした。マルコから「どうしてF2を走らないのか?」と尋ねられ、「いまはここで頑張っています」と答えたという松下だが、本音はヨーロッパでレースすること。もちろん、その先にはF1がある。
「F1を目指す気持ちは、いまも変わりない」という松下。
「だから、スーパーライセンスを取るために、少しでも選手権で上の順位で終えたい。あと2戦あるので、できる限りのことをする」と語った松下は、かつて一緒に仕事をしたマクラーレンのスタッフや、F2のARTの元を訪れ、旧交を温めいた。
現在、F1を活躍しているピエール・ガスリー、ストフェル・バンドーン、エステバン・オコンはかつて一緒に戦っていたライバル。
松下にとってF1はあこがれではなく、戦うべき場所。そのことを今回のベルギーGP訪問で、松下は再確認したのではないだろうか。