「下方婚」とは、女性から見て結婚相手の収入や財産が自分より少ないということで、分かりやすい言葉ですが、嫌な言葉でもあります。はてな匿名ダイアリーに8月25日、「経験者としては子供を持ちたい場合、下方婚は勧められない」とするエントリがあり注目を集めました。
投稿者は育休中の妻で、出産して収入が激減してからも家計の負担比率が変わらず、むしろ子ども費用を負担しているため妻の方が多い模様です。自分が家にいるためにほとんど家事をしない夫に
「私が働き続けた方が良いのになあと思ってモヤモヤする」
と漏らしています。(文:篠原みつき)
「私より下方だから仕事の能力も私より低い」
投稿者の夫は、残業しても年俸が変わらない労働裁量制ですが、子どもができてからも出張や残業などを以前と変わらずこなし、妻は「ワンオペ育児」状態。ますます苛立ちが募っています。
子どもが出来ても意識が変わらない夫にイライラするのはよくあることですが、注目は、妻が「夫の仕事ぶりは無駄が多く効率的ではない」「収入の少なさは能力の低さ」とまで断言している点です。
「下方婚した私が悪いのだが」としつつ、
「夫は私より下方なのだから収入も低い分仕事の能力も低い。だから私より非効率な働き方になってしまって当然だった」
と書いています。妊娠前にはそれほどでもなかった「夫を下に見る気持ち」が、あからさまになっているのです。
これに対してはてなブックマークは500近くつきました。コメントの多くは妻に対するツッコミです。
「それ上方下方じゃなくて旦那さんの問題っすよ」
「収入が低いのを安直に能力が低いって切り捨てるのはちょっと違う」
できればみんな「上昇婚」したいのは山々ですが、「好きな相手が自分を好きで高収入」でなければ結婚しないとすれば、結婚できる確率は相当下がります。投稿は、アドバイスというより愚痴のようなものでしょう。
もしや夫はフラリーマン? ワンオペ育児が悪循環を呼ぶ
一方で、「稼ぎが妻より低いとむしろ家事をやらない事で沽券を守ろうとする男性がいる」という、複雑な心理を指摘する人も。
夫にしてみれば、育児に疲れた妻がイライラしている家に居たくなくて、わざと残業をしている「フラリーマン」状態なのかもしれません。もちろん、子どもが出来てますます奮闘しているのかもしれませんが……。人は年齢とともに変化に対応しなくてはなりませんが、夫はそこから逃げているようにも見えます。まさに「上方下方ではなく旦那さん姿勢の問題」です。
ただ、「収入が低い=仕事も無能」は、多くの長時間労働で賃金が上がらない人の気持ちを害したことは確かです。「悪いのは夫や下方婚というより、家族を養える給料を出さないのに長時間労働が当たり前の会社や世の中の方では」といった声もありました。
投稿者である妻は、収入は関係なく「好きな人」と結婚したつもりが、子どもが出来ても「夫の意識が協力体制にならない」ことに失望しているのでしょう。育児の疲れもあって「収入が低いことが人間の質を表している」という極論に達したのかもしれません。ワンオペ育児が悪循環を呼んでいます。
筆者も決して上方婚をした人間ではありませんし、夫の収入は夫婦仲に関係ないともいえませんが、子どもが小さいときに夫がしてくれたことはずっと忘れません。ですから「しなかったこと」も、夫婦関係に大きく影響することは確かだと分かります。
コメントの中には、「たぶん、育児で疲れているんだよ」と理解を示し、家計や育児負担の割合を夫ときちんと話し合ったほうがいいという意見も出ています。夫より仕事ができるという妻なら、そうした話し合いもきちんとできることでしょう。