第三子を出産した家庭に1000万円を給付する「コドモノミクス」案で話題の、国民民主党・玉木雄一郎共同代表。今度は、最低賃金を巡るツイッターでの発言が物議を醸している。
8月25日、玉木氏はツイッターで、グーグルやアップルなど、海外企業が採用要件から学歴を撤廃したことに言及。「AI時代、採用時の学歴、年齢、性別による差別禁止は当然。それと人生100年時代、これからは定年制の撤廃も不可避だ」として、
「私は高齢者就労を応援したい。そのためには、本人の同意など一定の条件の下、最低賃金以下でも働けるような労働法制の特例も必要だと考える」
とツイートした。最低賃金上げるよう求める声もある中、賃下げの容認とも見られる発言に、「高齢者が最低賃金以下の給料で働かなければならない社会が理想的に見えるのか」など、疑問と批判の声が集まっている。
「生きがい求め働きたい人の場を確保するため」と説明
元衆議院議員の三宅雪子氏はツイッターで、玉木代表宛てに「最賃無条件撤廃だと、私が経営者だったら安い賃金で勤勉な高齢者を率先して雇う」と、若者の雇用が減るのではないかと疑問を投げかけた。
玉木氏はこれに、
「当然、同賃金が望ましいですが、生きがいを求めて働きたい意欲のある高齢者の働く場の確保がままらない実態があります。なので、下限(例えば最低賃金の7割)を設け、その下限との差額を助成することも一案ですし、逆転現象を防ぐため、生活保護費との整合性も考えていきたいと思います」
と回答している。働く意欲のある高齢者に就労の機会を提供したいという思いが根底にあるようだが、やり取りを見た人からは、
「生活苦で仕方なしに働いてる方が殆どだと思うのですが」
「生きがいよりも、まずは生活していくことが大事です。そのためのお金が足りないんですよ」
などの声が集中。多くの高齢労働者は生きがいを求めているのではなく、年金だけでは生活を維持できないなどの理由で働いているという指摘が相次いだ。
「福祉的就労に類似した枠組みが作れないかとの問題意識だった」と補足
その後、玉木氏は自身のツイートについて
「最賃法第7条の障がい者就労に関する最賃の特例をイメージしてツイートしたのですが、不十分な説明となり反省しております。問題意識は、最低賃金をそのまま適用すると、働く方の雇用の機会を奪ってかえって不利な結果を招く場合をどのように回避すればいいのか、ということです」
と説明。8月27日には、「身体機能が低下しても働きたいと希望される高齢者に、障がい者に認められている就労支援A型B型のような福祉的就労に類似した新たな枠組みが作れないかとの問題意識でした」と、再度真意を説明した。高齢になって従来のパフォーマンスを発揮できなくなった人も、賃金の低い特別枠で働き続けるようにする、という趣旨のようだ。
元総務大臣で国民民主党の原口一博衆議院議員は、玉木氏の一連のツイートに関連し、最低賃金法について「最低賃金法は国民の働く事に関しての権利を保障する法律です。平成20年改正で特例措置をなくしました。予め減額措置の許可を受けない限り最低賃金以下で働かせた者に罰則を与え最低賃金法の人間の尊厳、セーフティーネットとしての機能を強化する為と説明しています」と補足し、
「法律により強制を受ける国民からしても人権に配慮されない法律はあり得ません。肝に銘じたいと思います」
とコメントしていた。玉木氏は、9月4日に投開票が行われる国民民主党の代表選挙に出馬するにあたり、政見の中で高齢者雇用について、
「本人同意で最金以下の時給でもマイペースで働ける『高齢者福祉的就労促進労働法制』」
の成立を目指すとしている。