トップへ

「元夫との再婚計画」義両親の反対で流れる…「アノ人たち」に慰謝料請求できますか?

2018年08月27日 10:32  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

記事画像

離婚後、元配偶者と音信不通になる人もいますが、中には付き合いを継続する人もいます。弁護士ドットコムに「家庭における考え方の違いと不貞」を理由に元夫と離婚した人から「(元夫と)再婚したいが、婚約破棄となりそうだ」と、相談が寄せられました。


【関連記事:無理やり起こされ、泣いても「夫婦の営み」強要…完全にDV、犯罪になる可能性も】


離婚後、お互いの状況や考え方の変化があったことから、婚約したといいます。ところが元夫の両親に報告すると「再婚するなら絶縁する」と大反対。どうやら息子の不貞で離婚したことを元夫の両親は知らず、嫁である相談者に問題があったと考えているようなのです。結果、元夫も再婚への意欲が薄れ、婚約破棄となりそうな展開になってしまいました。


このまま婚約破棄となった場合、義理の両親に対して慰謝料を請求することはできるのでしょうか。また、相談者は「(元夫の)過去の不貞などを(義理の両親に)暴露したい」と考えていますが、婚約者から名誉毀損などで訴えられる可能性はないのでしょうか。池田康太郎弁護士に聞きました。


●「慰謝料請求が認められる可能性はある」

「原則的には義理の両親への慰謝料請求は難しいと考えます。婚約は、当事者間の問題であり、一次的には婚約破棄をした婚約者が責任を負うべきだからです。


もっとも、義両親が公序良俗に反するような動機や方法で婚約破棄に至らしめたケースや義両親が婚約破棄を執拗に迫った結果、婚約破棄に至ったケースでは、義両親に対する慰謝料請求が認められた裁判例(徳島地裁昭和57年6月21日判決)もあります。


今回のケースでは、義理の両親が婚約者に対して『絶縁する』とまで言っています。そこに至るまでの婚約者と義理の両親とのやり取り次第では、義理の両親が婚約破棄を執拗に迫った結果、婚約者がやむを得ず婚約破棄を決断するに至ったと評価でき、慰謝料請求が認められる可能性はあると考えます」


●元夫の不貞の事実を伝えてもいい?


義理の両親に「元夫の不貞の事実」を伝えることは、名誉毀損など法的な問題に発展しないのでしょうか。


「義理の両親に婚約者の過去の行いについて話をし、他言無用であることを明確に伝えておけば、名誉毀損の要件である『公然と』すなわち、『不特定又は多数の人に事実を摘示した」とは言えないため、名誉毀損には該当しないと考えます。


また名誉毀損だけでなく、プライバシー権侵害についても問題となりえます。義理の両親に話をすることは、正当な理由があると考えられるため、プライバシー権侵害により損害賠償請求が認められる可能性は低いと考えます」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
池田 康太郎(いけだ・こうたろう)弁護士
2007年 弁護士登録。弁護士法人法律事務所オーセンスで勤務。2017年 新日本パートナーズ法律事務所を開設(同事務所代表)。フジテレビ「めざましテレビ」、テレビ朝日「グッド!モーニング」、日本テレビ「スッキリ」他多数出演。主な著作に『調査・慰謝料・離婚への最強アドバイス』(中央経済社・共著)。

事務所名:新日本パートナーズ法律事務所
事務所URL:https://www.shinnihon-law.jp/