待機児童問題は、入園希望者数に対して保育の受け皿が不足していることで生じるが、保育園の増設は簡単ではない。「子どもの声がうるさい」などと近隣住民が快く思わないためだ。
「ガールズちゃんねる」で8月20日にスレッドを立てた人物も、そんな住民の一人。閑静な住宅街に住んでいるスレ主は、突然持ち上がった保育園建設の話に困惑しているという。
「私は正直子供自体あまり好きではなく、何より子供達による騒音が心配であり、道幅もそこまで広くないのに交通量が増えることも懸念しており賛成できません。(中略)心が狭いのかもしれませんが、これからずっと騒音問題などに悩まされる側にしてみれば深刻な問題です。 皆さんは隣近所が保育園の建設予定地になったら反対しますか?」
「平日の日中は子どもの声でうるさい」「自転車が増えたりすると運転しづらい」
2017年には、東京都武蔵野市で住民の反対で開園を断念したケースがある。今年7月にも大阪府吹田市で、認可外保育所の建設を進める民間業者と近隣住民が揉めているという報道があった。
スレッドでも、「むしろ賛成する人いるの?」の回答をはじめ、保育園建設を歓迎しない人からのコメントが目立つ。
「絶対反対。断固抗議します」「子供が好きとか嫌いとか関係なく無理」
「引っ越し費用とか家のローンを払ってくれるならどうぞ!」
やはり音を気にする人が多い。近所に保育園があるという人からは、「平日の日中は子供の声で正直うるさいです」という声が寄せられていた。騒音に悩まされ、引っ越しをした人もいるという。
反対する理由は子どもの騒ぐ声だけではない。「送迎で混んだり自転車が増えたりすると運転しづらい」「子供の声より、送迎の親達が迷惑。長時間の路駐や立ち話が本当に邪魔」といった声も上がる。
時間的なゆとりがない保護者は、急ぐあまり自転車や自動車の運転が荒くなりがちだ。さらに、路上駐車によって住民の通行に支障をきたすこともある。このように、保育園への苦情は、実は保護者マナーへの苦情という見方もできる。
「母親が働くための子供支援をなぜそんなに叩くのか」
一方で、保育園建設容認派もいる。子どもが騒ぐのは仕方がないことなので、闇雲に反対するのはおかしい、というのだ。
実際に保育園の近くに住んだ経験がある人は、「外で遊んでる声は聞こえるけど、部屋の中にいる分には全く声は聞こえません」「心配するほどうるさくなかったけどな」と書いている。
とはいえ、反対派の人を「心が狭い」と決めつけることはできない。不快に思うレベルは人によって異なるほか、建設場所の状況によっては事故や渋滞の原因となり、住民が暮らしにくくなる可能性もあるためだ。
政府は女性活躍をうたい、保育の受け皿を増やして仕事と子育ての両立支援を掲げているが、現状にはたくさんの課題が残る。スレッドに寄せられた保育園建設への否定的な意見を見て、子どもを産み、育てながら働くことの困難さを感じた人たちからは、
「反対されて保育園建設しても、保育士足りないし待機児童もあるしで、女性が子供預けて働きに出るまでのハードルが高すぎる」
「母親が働くための子供支援をなぜそんなに叩かれるのかわからない」
などの嘆きが寄せられている。
どこかに保育園を建設しなければ、少子化は加速してしまう。保育園と近隣住民、保護者が互いを思いやり、うまく共存できる道を探っていきたい。