ゲートウェイ・モータースポーツパークで開催されたインディカー・シリーズ第15戦。25日に行われた決勝レースは、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が今季3勝目を挙げた。佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は9位となった。
大雨で予選はキャンセル。代わりに夜に予定されたファイナルプラクティスを60分間から90分間に伸ばして行われ、スターティンググリッドはポイント順とされた。
翌日、快晴下でのレース。ポールポジションからポイントリーダーのスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・)はトップを保ち、最多リードラップも記録した。
しかし、248周のレースの150周目にウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がトップの座を奪った。ディクソンは燃費セーブモードで、指示された数字の実現のためにスピードを抑えて走っており、トップを守り切れなかった。
トップに立ったパワー。彼は燃費とハンドリングを両立してリードを広げた。最後に彼を追う立場となったのは、ポイントランキング2位のアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)だった。
3連勝を目指す彼はパワーより1回少ないピットストップでのゴールを目指し、レース終盤にトップに立って見せた。しかし、燃料を入れて燃費の心配が一切なくなったパワーを封じ込めることはできず、逆転を許した。
ロッシは3連勝は逃すとしても、ディクソンにだけは前でゴールさせたくはなく、その目標は達成された。パワーと同じ4ストップ作戦で戦ったディクソンは、ロッシにあと1.5秒まで迫ったが、時間切れとなった。
スピードで攻め切るか、燃費で勝負するか、作戦を絞り切れず、フレキシブルに戦ったことがアダとなって両者のポイント差は29点から26点に縮まった。
パワーはディクソン、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)、ロッシに並ぶ今シーズン最多の3勝目。通算35勝目で、ボビー・アンサーと並ぶ歴代3位の勝ち星数を誇るドライバーとなった。
「逆転タイトルは可能。今年の5月を迎える際、ディクソンと僕のポイント差は今とほぼ同じだったのだが、インディカーGP、インディ500で連勝した僕は2点差でトップに躍り出た。自分で逆転が可能なことを証明しているんだ!」とチャンピオンへの意欲を語った。
接戦のチャンピオン争い
残すは2レース。ポイントトップのアドバンテージを利してディクソンが5度目のチャンピオンとなるか? 若いロッシが終盤戦の勢いで一気にタイトルまで突き進むのか? あるいは、ギリギリでチャンピオン争いに生き残ったパワーが、奇跡的逆転を実現するのか? 結末が楽しみだ。
ポコノまでで既に9勝しているホンダは、今日のレース結果によってマニュファクチャラータイトル獲得を今日決定した。2012年にシボレーがシリーズに復帰して来て以来初めてのホンダのタイトル獲得だ。
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は13番グリッドから燃費作戦で戦い、1タンクで誰よりも多くの周回を行ってトップ争いを展開。しかし、ライバル勢があと2回、自分たちはあと1回のピットストップが必要という状況でライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)のエンジンが突然シャットダウンするトラブル発生。燃費作戦は実らず、9位でのゴールとなった。
「フラストレーションの溜まるナイトレースになっていた。レースにスタート時は両方の作戦を考えていましたが、すぐに長いイエローが出されたことで3ストップ作戦と決め、順調に周回していました」
「1タンクでいちばん長く走れていた自分たちとしては、非常に順調なレース展開となっていました」と琢磨。
ペースと燃費を両立させて優勝のチャンスを狙っていたが、4ストップ組の助けとなるフルコースイエローがレース終盤に出され、優勝のチャンスは消えてしまった。