スーパーGTのサーキットやModuloブースなどでMCを務めている水村リアさんが、鈴鹿10時間で劇的復活を果たしたModulo Drago CORSEのチームに帯同して4日間密着。第3回目は予選が行なわれた土曜日の様子をお届けします。
誰もが息を飲んだ、スーパーGT第5戦富士の練習走行でのアクシデント(ZENT CERUMO LC500の追突を受けてマシン全損)からはや3週間。もうダメかと思った時もあった。レースができないんじゃないかと諦めかけた瞬間もあった。それでも復活を願ってくれたファンと、支えてくれた人たちのおかげで、34号車Modulo KENWOOD NSX GT3がサーキットに帰ってきました!
34号車の復帰戦となるのは、海外からも強豪チームが参戦する耐久レース『SUZUKA 10H』。Modulo Drago CORSEにとって波乱万丈となった夏を締めくくる一戦を、日本を代表するNSX GT3でどう戦うのか。私、水村リアが4日間チームに密着してお届けしたいと思います!
シェイクダウンからセッティングまで、2日間というあまりにも短い時間でそのすべてを仕上げなくてはならなかった34号車Modulo KENWOOD NSX GT3が、いよいよSUZUKA 10Hの予選に挑みます。
復活の予選。いよいよ34号車が戦いの場に戻ってきてくれました!
一昨日、昨日とチームを悩ませたピレリタイヤ。走行を控え、メカニックさんたちもチェックを怠りません。
お客さんのメインイベントのひとつでもあるピットウォークがスタート。「おかえり!」を伝えに、たくさんの方がModulo Drago CORSEのピットに集まってくれました。
「戻ってきてくれて嬉しい」。そんな言葉もあちこちから聞こえましたよ!
大盛況となったピットウォークは、彼女たちのおかげで一層華やかに。チームを一緒に応援する綺麗どころに、初対面の小暮卓史選手はなんだか緊張の表情!?
予選はドライバーがひとりずつ走行し、合算タイムで20番手以内に入ったチームのみ、シュートアウトという上位20台のグリッドポジションを決めるアタックに進むことができます。
まずはドライバー1の予選。
道上龍選手、指どうしたんでしょうか? これから予選なのに大丈夫でしょうか……。まさかまだ体が?
リュックを指で持ち上げたら予想以上の重さで痛かった、というオチでした。予選前の緊張したピットの雰囲気も、道上選手のうっかりっぷりに和みます。
前日までより気温も路温も高くなった土曜日の予選。タイヤへの合わせこみもなかなか難しく納得いくラップではなかったようですが、まずは22番手のタイムをマーク。
予想以上のコンディションの変化に、道上選手からのフィードバックを聞く大津弘樹選手と小暮選手の表情も真剣です。
ドライバー2の予選は、大津選手がアタック。ドライバー同士で話し合った「このタイヤのおいしい周」をうまく活かし、2分03秒108をマーク。NSX GT3勢の中でのベストタイムでした!
そしていよいよ、ドライバー3。果たして、小暮劇場は見られのでしょうか?
30台以上のマシンが同時にコースインしたため完璧なクリアラップとはならなかったようですが、小暮選手は2分4秒423をマーク。これにより17番手で予選1回目を通過しシュートアウトへの進出が決定しました!
グリッドポジションを決めるシュートアウトのアタックは、規定で小暮選手が担当。
チームみんなの期待が小暮選手の走りにかかります! 道上選手と小暮選手は数年前まで、同じチームの『監督と選手』の関係だったんですよね。
小暮選手のピットアウトを見守る道上選手。なんだか当時の監督の顔に戻っていたような気がしました。
シュートアウトはある意味で小暮劇場となり、『魅』せてくれたことに間違いはありません! いろいろありましたが、結果は23番手グリッド獲得となりました。
小暮選手、少しヘコんでる……? しかしシェイクダウンからたった3日でここまでクルマを仕上げてこられたのは、道上選手、大津選手、小暮選手、そして関係者全員の器量のおかげ。チームワークがなければここまで成すことができなかったはずです。
そして予選後。道上選手はサーキットの近くにあるHonda鈴鹿製作所の夏祭りへ、ゲストとして出演です。
実は、ゲストでドライバーが来ることは知らされておらず、サプライズでの登場だったそう。到着すると、突然の訪問にびっくりするお客さんもいらっしゃいました。
道上選手も去年スーパー耐久で搭乗したシビックTCR。現行の97号車が展示してありました。WTCCはもちろん、古くはEG6のワンメイクレースから、道上選手とはなにかと馴染み深いシビックです。
そしてNSX GT3も展示されていました。10号車のドライバーとしてSUZUKA 10Hを戦う中嶋大祐選手。明日は同じNSX GT3勢として、負けられません!
トークショーではSUZUKA 10Hの意気込みも語られるなど、見に来ていたお客さんからは「がんばれー!」の声も。世界の強豪が集まりますが、やっぱり日本人と、そして日本のレーシングマシンが活躍してほしいですよね。
予選はいろいろありましたが、改めてレースの難しさ、そしてModulo Drago CORSEのチーム力を見ることができた一日でした。いよいよ明日は決勝本番! 速さはもちろんですが、最後まで耐えられる持久力と堅実さ、そしてチーム力が問われる一戦となりそうです。
「いってらっしゃい」を言った34号車Modulo KENWOOD NSX GT3に、みんなでまた、「おかえりなさい」、「ありがとう」をしっかり言えるレースとなりますように!