『テレビ東京開局55周年特別企画ドラマスペシャル「Aではない君と」』の放送日が9月21日に決定。あわせて追加キャストが明らかになった。
同番組は『第37回吉川英治文学新人賞』を受賞した薬丸岳の同名小説をテレビドラマ化したもの。1人息子の翼が起こした死体遺棄事件に翻弄される会社員・吉永圭一と、逮捕後も何も語ろうとしない翼を担当する弁護士・神崎京子が、真相に立ち向かっていくというあらすじだ。吉永圭一役に佐藤浩市、神崎京子役に天海祐希がキャスティング。製作陣には『アンナチュラル』などの塚原あゆ子監督や、同作で塚原監督とタッグを組んだ新井順子プロデューサーらが名を連ねる。
新たに発表された出演者は、吉永の息子・青葉翼役の杉田雷麟、吉永の元妻・青葉純子役の戸田菜穂、吉永の部下であり恋人・野依美咲役の市川実日子、吉永一家を追う週刊誌記者・中尾俊樹役の山本耕史、吉永が最初に頼る弁護士・長戸光孝役の八嶋智人。また、吉永の息子が働く居酒屋の店主・井川役を寺島進、家庭裁判所調査官・瀬戸調査官役を安田顕、被害者の父で弁護士の藤井智康役を仲村トオル、吉永の父・吉永克彦役を山崎努が演じる。
子役オーディションで選出された新人の杉田雷麟は「「『この世界で食ってくのか?」主演の佐藤浩市さんに、初対面で聞かれました。“はい”と即答しました。そんな僕に『俺と関わる場面ならお前が納得行くまで何度でも付き合ってやる。』とも言ってくれました。とにかく嬉しかったです!」と明かしている。
また戸田菜穂は「子供と一緒に生きていくということ、あらためて考えさせられる魂の叫びのような作品です!」、市川実日子は「遠くで起きた特別な事件は、自分にとって全く無関係ではないものなのかもしれない。たとえ、ニュースの中や物語のことでも、人は無意識にそう捉えるものなのかもしれない。そんなことを感じる現場のまなざしでした」、安田顕は「脚本を拝読し、涙が滲みました。数日の現場への参加でしたが、出演者、スタッフの皆さまの真摯な向き合い方に、作品への思い、意義を感じました」とコメントを寄せている。
あわせてポスタービジュアルが公開。出演者の姿や「加害者か、被害者か、それとも、ふつうの少年か。」というキャッチコピーなどが写し出されている。
■杉田雷麟のコメント
「この世界で食ってくのか?」主演の佐藤浩市さんに、初対面で聞かれました。“はい”と即答しました。そんな僕に「俺と関わる場面ならお前が納得行くまで何度でも付き合ってやる。」とも言ってくれました。とにかく嬉しかったです!現場でも共演者スタッフの方々からアドバイスをもらい、緊張している自分をも楽しみながら演じられました。この作品は誰もが経験するかもしれない話です。僕はこの作品を少しでも多くの人に見てもらい、感じてもらいたいです。
■戸田菜穂のコメント
何が何でもやりたい役でした!加害者家族を演じることは苦しくて苦しくて毎日がモノクロの世界でした。あらゆる親子に観ていただきたいです。できれば学校でも観てもらいたい。子供と一緒に生きていくということ、あらためて考えさせられる魂の叫びのような作品です!
■市川実日子のコメント
撮影現場で幾度となく聞こえてきたのは、深い溜息と、このドラマで起きる事件や登場人物の選択、台詞についての会話でした。他の現場と違うのは「自分だったら・・」という心の奥底まで掘るような尽きない対話が、自然と続いていくことでした。遠くで起きた特別な事件は、自分にとって全く無関係ではないものなのかもしれない。
たとえ、ニュースの中や物語のことでも、人は無意識にそう捉えるものなのかもしれない。
そんなことを感じる現場のまなざしでした。
■山本耕史のコメント
台本を読んでテレ東らしく攻めているなと感じました。こういう深いテーマのドラマが制作されにくくなっている昨今、僅かでもこの作品に参加できたのは貴重な財産になりました。ぜひ多くの方々にご覧頂けることを願っています。
■八嶋智人のコメント
僕にも小学五年生の息子がいます。現代社会に住む子供達はいろんな意味で窮屈だろうと親として感じる事があります。コンプライアンスなんて言葉が独り歩きし、子供の世界にまで影響を与え、様々な問題はより深く闇の中に潜むようになる。このドラマはそんな場所にいる子供達と大人達を丁寧に結び付ける物語だと僕は思っています。もちろん事件を追う事が軸になっていますが、親子ならば他人事ではない物語として見届けて欲しいです。
■寺島進のコメント
僕がプライベートでもお付き合いしている佐藤浩市さん、この芸能界でも一番信頼できるプロデューサーと、こういう女性監督が増えていくといいドラマがもっと増えるだろうなと思える監督のタッグで作る今作。この作品は、子供、家族を持ってる人間にとってとても大事な事を伝える内容になっていると思います。家族を持ってる人、これから家族を持つ人、結婚する人、家族団欒、幅広くどんな方が見ても、いち人間だったら色々気付き、そして感じる所が沢山ある作品だと思うので、老若男女、一人でも多くの人に観てもらいたいなと思います。
■安田顕のコメント
脚本を拝読し、涙が滲みました。数日の現場への参加でしたが、出演者、スタッフの皆さまの真摯な向き合い方に、作品への思い、意義を感じました。参加できて、光栄です。多くの方々に、届きますように。
■仲村トオルのコメント
もし自分の子供が人を殺す、もしくは人に殺される、そのことを想像しようとしても、脳が拒絶するのかイメージすることはとても難しかったです。これほど重く難しい原作をテレビドラマにしようという志に自分も参加したいと思いました。撮影最終日の佐藤浩市さんのたたずまいにこの作品の重みの凄さを改めて感じました。その重み故に、観てくださった方の心の奥底に深く残る作品になっていると思います。
■チーフプロデューサー稲田秀樹(テレビ東京ドラマ制作部)のコメント
ついに『Aではない君と』の豪華キャストのお披露目となり、放送も近づいてきたことを想うとプロデューサーとして感慨もひとしおです。
数年前、薬丸岳さんの原作に圧倒され、何とか映像化してみたいと思い立ちました。そこに流れる深く重いテーマである「少年犯罪」「加害者と被害者双方の苦しみ」「贖罪のあり方」など…難しく答えのない問い掛けをどう扱うべきか、当時はまったく勝算はありませんでした。ただ、とにかく逃げずに正面から向き合おうと考えたことだけを憶えています。
正直、今どきのテレビには似合わない内容で、普通ならまず通らない企画です。着想から色々と紆余曲折がありましたが、今回、豪華なキャストと制作陣を得て、ようやく実現にこぎ着けることが出来ました。撮影前、塚原監督とは、そんな難しい内容だからこそエンタテインメントであることを忘れずに作りましょうとも話しました。今、完成品を前にして、その志は報われたと感じています。
撮影も佳境を迎えた頃、現場で印象的な出来事がありました。佐藤浩市さん演じる父親に向かい、初めて息子が自分の想いを吐露する大切な場面でのリハーサルのことです。息子役の杉田くんが気負いもあってか、感情を剥き出しにする芝居がうまくいかず、現場に不穏な空気が漂い始めたのです。ひとまず食事休憩を挟んで落ち着こうとなったのですが、そんな中、佐藤さんが杉田くんにこう声を掛けたのです。「俺の経験でいうと、こういう時は何も食わない方がいい。飯は食うな。俺も食べないから」と。僕はその心遣いに驚きました。とかく人間関係が希薄となった現代にあって、それは紛れもなく、人生の先輩から後輩へバトンを手渡すかのような…希有な瞬間だったのです。僕には二人の姿がまさに『父と子』に見え、この作品の成功を確信しました。
他のキャストの皆さんの熱量も同様に高く、それぞれに意義を感じて役に向き合って下さいました。ひとつひとつの台詞を大切にし、みんなが納得するまで話し合い、それでも足らずに電話でやり取りすることもあって、「面倒」は尽きませんでした(笑)。でも、その「面倒」はとても幸せな時間でもありました。スタッフ・キャスト全員が、真摯に取り組んだ想いは画面を通して必ず感じて頂けると思います。
ぜひ楽しみにご覧頂きたいと思います。