8月24日、第47回サマーエンデュランス 鈴鹿10時間耐久レースが開催されている鈴鹿サーキットで、モビリティランドの山下晋社長がメディアを前に鈴鹿10時間、そしてF1日本グランプリについての現状を語った。山下社長は来週、F1イタリアGPが開催されるモンツァに向かい、そこでフォーミュラ・ワン・マネージメント(FOM)と“詰めの交渉”を行うとした。
これまでさまざまな歴史を築いてきた鈴鹿でのF1日本グランプリは、今年で30回目の開催となる。一方で、今年が5年間のF1開催契約の最終年にもあたっている。F1の開催契約はFOMとの交渉となるが、今春には「開催継続が難しいのではないか」という噂も上がっていた。
そんなF1の継続開催について山下社長は、「来年以降継続するのかしないのかというのを、これまでFOMと議論を進めてきました。今日からスパでF1の後半戦が始まりますが、夏休みにも議論を進めており、100点とは言いませんが、かなり詰められてきました」と現状を報告した。
山下社長は、この“詰められてきた”段階から「いくつかあるお互いに要求し合っていて合意がとれていない」ことを詰めるべく、8月31~9月2日にモンツァで開催されるイタリアGPに向かうという。
「そこで最終確認を行い、将来に向けたいいご報告ができる方向でいます」と、契約延長に向けた話し合いを行うと山下社長は明かした。
F1開催を願うファンにとってはぜひ継続開催を希望したいところだが、問題も多くあると山下社長は明かす。
「FOMとの間ではさまざまな議論をしてきましたが、私の認識としては過去のFOMの体制に比べ、今のFOMからはF1を新たなステージにもっていきたいという意志、意図は感じています。ただ実際にそれができるかはこれからの話。F1が魅力的なイベントである限りは、我々としては継続開催をしたいというのは変わっていないです」と山下社長。
「ただ、ここ何年かのF1の状況からすると、このままでは将来が担保できないという危機感はもっていました。それに対して今のリバティメディアを中心とするFOMのメンバーは、かなり的確に答えを返してくれている。そのなかでいい結論にいけるのではないかと思っています」
とは言え、F1の開催権料は非常に高額で、過去に多くのファンが入っていたときでさえ「それでカツカツです」と山下社長は明かしている。
「最大の問題点としては、2年間鈴鹿での開催が途切れ、再開した初年度以降、4年間連続で観客数が下がってしまった状況があります。今の観客数では、ビジネスとしてはまったく成立しません。これを継続するとなると、民間会社としては『いくらなんでもあり得ない』レベルで採算がとれないんです」
「それをなんとかするには、観客数を増やして収入を増やす、開催権料を下げてもらうというどちらかですが、今回は両方の要求をしていて、それはなかなかうまくいかない。その最後の決断をするタイミングにきています」
山下社長がモンツァで決断を下すにあたっての最大の要件は、「今後F1のお客様が増えていくと思えるのかどうか」だという。
「そう思えるのであれば来年以降も継続開催する判断をしますし、そう思えなければ、やり続けると我々の会社が立ちゆかなくなってしまうレベル。それを最終的に判断し、モンツァで発表できればと思っています」