8月24~26日に鈴鹿サーキットで開催される『第47回サマーエンデュランス 鈴鹿10時間耐久レース』に向け、8月23日に特別スポーツ走行が行われたが、ここで新たな個体を投入したModulo Drago CORSEが、無事に新シャシーでの初走行を終えた。
今季からホンダNSX GT3を投入しスーパーGT GT300クラスに参戦しているModulo Drago CORSEは、シーズン当初から鈴鹿10時間への参戦も表明していたが、鈴鹿での一戦を前にした8月4~5日のスーパーGT第5戦富士で、思わぬアクシデントに見舞われた。
公式練習で姿勢を乱したZENT CERUMO LC500にリヤからヒットされたModulo KENWOOD NSX GT3は、フレームまでダメージが及んでしまい、この時点で鈴鹿10時間への参戦は一時絶望的となった。しかしチーム代表でもある道上龍は、「チームの雰囲気を考えても、このままではいけない。このままでは終われない」と8月8日に新車のNSX GT3を購入することを決断。鈴鹿10時間までの短い時間で、車両を間に合わせるために動き始めた。
道上は、ホンダNSX GT3のアジアでのサポートを手がけるM-TECを通じて、車両の手配に動き出した。製作するイタリアのJASモータースポーツからは、イタリアに1台、そしてマレーシアに1台があると返事が来た。
そこでエアコンも搭載しており、アジア向けの仕様になっているマレーシアにあったシャシーナンバー016を取り寄せるべく、8月8日に発注。日本には13日に到着した。そこからチームスタッフの一部はスーパーフォーミュラ/全日本F3選手権のもてぎラウンドへ向かうなど多忙なスケジュールとなったが、車両のバラシ、そしてカラーリングが施され、元のシャシーナンバー012と同様の姿になって8月21日に鈴鹿へ到着した。
新たな個体は、当然ながらシェイクダウンも行っていない。8月23日のスケジュールは鈴鹿モータースポーツフェスティバルのパレードとなっていたため、サーキット道路での公道パレードが新Modulo KENWOOD NSX GT3のシェイクダウンになる予定だった。
ただ、台風20号の接近により残念ながら公道パレードは中止に。そのため、通常どおり(?)鈴鹿サーキットでの特別スポーツ走行がシェイクダウンとなった。通常、シェイクダウンではトラブル等がつきものだが、「チームがきっちりとメンテナンスしてくれたおかげで、前の車両からはなんの違和感もなく、トラブルフリーで走ることができました」と道上はホッとしたような表情で、初日が無事に終わったと語った。
この日は道上、そして大津弘樹と第3ドライバーを務める小暮卓史も走行した。「前戦富士はチーム全体の士気が高かったので、クラッシュで走れなかったのは残念としか言いようがなかったです」というのは大津だ。
「前の車両と変わらない状態で走れましたし、富士でのいい印象のまま走れると思っています。小暮選手もチームメイトとして参戦してくれるので、僕としては嬉しいですし、多くのことを吸収したいです。そして賞金を持って帰りたいです(笑)」
そして、ひさびさに道上とドライバーとして組む小暮は、「今年はSFに出ていないこともありますし、こうして挑戦しがいがあるレースに出られることは嬉しいです。チームに貢献したいと参戦を決めました。道上代表とは以前コンビを組ませていただいていたので、またこうして組ませていただけるのは嬉しいです」と語っている。
この日はGT500にはないABSやTCSのスイッチの操作等も含めてNSX GT3を習熟したという小暮だが、チームの復活劇を喜んでいる様子だ。
「道上さんがクラッシュしたとき、僕はすぐうしろにいたんですよね。クルマが大きく壊れてしまった瞬間を目にしてしまったので、今回こうして参戦に至ったことはすごいことだと思います」と小暮。
「また、大津選手という若手と組めるのも、過去の自分を見ているようで新鮮ですね。楽しみたいと思っています」
世界への挑戦、そしてスーパーGTの後半戦に向けてふたたび動きだしたModulo KENWOOD NSX GT3。新シャシーは、これからどんなドラマを紡いでくれるだろうか……?