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P・ブルック『テル・ミー・ライズ』にバラカンらコメント 冒頭映像公開

2018年08月23日 19:41  CINRA.NET

CINRA.NET

『テル・ミー・ライズ』 ©Brook Productions 2012
映画『テル・ミー・ライズ』の冒頭映像と著名人からのコメントが公開された。

「スウィンギングロンドン」の最中にあった1968年のイギリスを舞台にした同作。傷ついたベトナム人の子供の写真に戦慄した3人のイギリス人の若者が、ベトナム戦争における暴力のスパイラルを理解し、自分たちの無力感を乗り越えようとする、というあらすじで、当時のベトナム戦争を批判する内容となっている。監督は今年93歳になる演出家ピーター・ブルック。8月25日から東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで公開される。

公開された冒頭映像では、ベトナム戦争の被害により全身を包帯で覆われた赤ん坊の写真や、軽快なリズムで「ベトナム戦争についてのウソを聞かせるがいい」と歌う男性の姿、戦争被害者の写真を見た別の男性が「これを見ても同じことを続けるってどういう神経だ?」と言う場面が映し出されている。

コメントを寄せたのはピーター・バラカン、鳥越俊太郎、佐々木俊尚、三浦瑠麗、首藤康之、操上和美。予告編のナレーションを担当したピーター・バラカンは「50年前に起きていたことはまさに今再び起きていて、それにどう向き合うべきかというヒントが特に最後の辺りに濃厚に出ています」と綴っている。

また鳥越俊太郎は「英国人のベトナム戦争に対する複雑で屈折した思いがミュージカル風に綴られる。衝撃の焼身自殺や銃殺処刑シーンは実写だろう。今でもショッキングだ」、写真家の操上和美は「夢のように戦争は炸裂する。そして、自分の中に眠る残虐性をゆり起す」とのコメントを寄せている。

■ピーター・バラカンのコメント
最初は驚く低予算感とビミョーなミュージカル部分にもかかわらず、歴史的価値満載の映画です。また詳細は違っても50年前に起きていたことはまさに今再び起きていて、それにどう向き合うべきかというヒントが特に最後の辺りに濃厚に出ています。

■鳥越俊太郎のコメント
ベトナム戦争中の1967年に作られ,一旦消滅したと思われた 映像の復刻版。
英国人のベトナム戦争に対する複雑で屈折した思いが ミュージカル風に綴られる。
衝撃の焼身自殺や銃殺処刑シーンは実写だろう。 今でもショッキングだ。

■佐々木俊尚のコメント
行動、暴力、国際政治、抗議の焼身自殺、徴兵拒否…あらゆる面からベトナム戦争とどう向き合うのかを問い詰め、「目的は手段を浄化するのか」「私たちの当事者性とは」という 21世紀に通じる主題へとつながっていく。
この重いテーマをミュージカルと合体させ、エンタメとしても成立させているピーター・ブルックの手腕に戦慄。
この傑作が甦ったことに心底感動した。

■三浦瑠麗のコメント
西洋社会の戦争としてのベトナム戦争。知識人の煩悶と混乱。この映画は過ぎ去ったあの時代を蘇らせる。
70 年代とは、西洋の時代の終わりの始まりであったのかもしれない、とそんなことを、トランプ時代に生きる私はふと思わされた。

■首藤康之のコメント
この映画はピータ・ブルック哲学の原点を垣間見る思いがする貴重なメッセージフィルムだ。
そして、なにより真実と向き合う勇気をもたせてくれる。

■操上和美のコメント
夢のように戦争は炸裂する。
そして、自分の中に眠る残虐性をゆり起す。