山野哲也(EXEDY 05D 124)が全日本ジムカーナ第7戦で優勝。最終戦を前にシリーズチャンピオンを確定させた 8月4~5日にスポーツランドSUGOの西コースで行われた2018年の全日本ジムカーナ選手権第7戦。ポイントリーダーとして大会に臨んだ山野哲也(EXEDY 05D 124)はシーズン5勝目を挙げ、シリーズ最終戦を待たずして自身18度目のシリーズチャンピオンを確定。全日本格式の選手権では全日本GT選手権/スーパーGTとあわせて計21度目の栄冠となった。
4月22日に行われた全日本ジムカーナ第3戦エビスサーキットで前人未到の100勝目を挙げた山野。その後第6戦みかわでも優勝を飾り、ポイントリーダーとしてSUGOに乗りこんだ。
全10戦で争われている2018年の全日本ジムカーナは10戦中7戦の有効ポイント制が採用されており、山野にとってはタイトル確定の天王山。またポイントランキングで山野を追う河本晃一(レイズHALリジットZ.05D)や松本敏(itzz☆DL☆RSK 124)、工藤典史(YH wmx ITO spmシビック)たちにとっても勝ちが求められる1戦となった。
7年ぶりに全日本ジムカーナが開催されたSUGO、金~土曜日のセッションは天候に恵まれたものの、決勝日となる日曜は午後から降雨予報が出ていて、早朝こそ陽が差したものの、その後はくもり空となるコンディションに。
そのため、各ドライバーともコンディションが安定している第1ヒートで勝負をかける展開となった。
その第1ヒート、まず松本悟(BS ITO μ COBRAシビック)が1分27秒038をマークして暫定トップにつけると、その後、ランキング2番手の河本が1分25秒768までタイムを縮めて暫定首位につける。
最終走者としてアタックした山野は途中、カウンターステアを小刻みにあてる場面もあったものの、暫定首位の河本を約0.8秒突き放す1分24秒974を記録して暫定トップにつけた。
続く第2ヒートは曇り空となり、時おり風も吹いたほか、ターンセクションにはタイヤラバーが残る難しいコンディションとなり、多くのドライバーがタイムを果たせずに終了。
この結果、第1ヒートで最速タイムを刻んだ山野がシーズン5勝目を達成。全日本ジムカーナ通算103勝目を挙げるとともに、有効ポイント制により、最終戦を待たずして通算18回目のシリーズチャンピオンを確定させた。
■山野「クルマの“転がし方”を強く意識」
「日曜のヒート1にすべてをかけるという気持ちを持って、走り方やセットアップを考えに考え抜いてきました」と山野。
「今まで、ここまで深く考えたことはないと思うくらい、クルマの“転がし方”というか、前への進ませ方を意識しました」
「セットアップに関しては、通常はピーク(パフォーマンス)を上げるようにしています。ただ、今回のSUGOについては、いつもと考え方を変えました。難易度の高いサイドターンセクションがありましたからね」
「(そこで)0.1秒を稼ごうとして成功しなかった場合、逆に1秒単位で大きく(タイムを)ロスしてしまう可能性がありました。攻めていった結果、チャンピオン争いを棒に振る可能性もあるわけです」
「そういった失敗を招きそうな要素も排除しながら(突き詰めた)セットアップを目指しました。ドライビング面も同じです。タイヤの蓄熱を感じた後半セクションでは『それでも絶対に失敗しない』と自分に言い聞かせ、まるで耐久レース終盤のような丁寧な操作を心掛けました」
「SUGOでの開催は7年ぶりだったので、イベントを盛り上げたいなと思っていましたし、チャンピオンシップの面ではここで勝たないと、最終戦まで引きずるかもしれないという思いもありました。だから、ここで優勝して全日本ジムカーナのチャンピオン1番乗りを果たしたかったんです」
「また日本代表として(ジムカーナの)アジアカップにも出場しているので、そこに2018年度の日本チャンピオンとして挑みたいと思っていたので、SUGOでタイトルを決めたいという思いが強かったですね」
全日本GT選手権/スーパーGT、そして全日本ジムカーナとあわせて通算21回の王座に輝いた山野。ここまでレースに向き合ってきた原動力は「運転がもっとうまくなりたい」という思いだという。
「その気持ちにひたすらまい進しているのが僕の人生。運転がうまくなるように努力し続けた結果、(レースやジムカーナなどで)勝てたりチャンピオンになることができました」
「だから、運転がうまくなり続けていく限り、レースを続けるだろうなと思います」
今年10月には53歳の誕生日を迎える山野、その走りはまだまだ進化の余地を残している。