2018年08月23日 09:52 弁護士ドットコム
結婚後も、実家からこっそり仕送りを受け取る方もいるようです。ただ、離婚をする際に火種となることもあります。弁護士ドットコムに「妻がもらった仕送りは、自分のものになるのではないか」と相談が寄せられました。
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相談者の男性によると、妻の口座に「結婚祝い、出産祝い、時々振り込まれる仕送り? のようなもの」が妻の父から振り込まれていました。離婚するにあたって、この仕送りも財産分与の対象にならないか、と質問を寄せています。ただ、妻がこっそり受け取っていたため、金額はわからないようです。
実の親から送られてきた仕送りは共有財産になるのでしょうか。また、仕送りをもとに車など高額の物を購入していた場合、それは夫婦共有の財産になるのでしょうか。山本明生弁護士に聞きました。
「財産分与の対象となるのは、いわゆる『共有財産』といわれるものです。名義が夫婦の一方であっても、実際は婚姻期間中に夫婦が協力して取得した財産の場合は共有財産となります。
夫婦の一方が、婚姻前から所有していた財産や婚姻中に相続や贈与等で得た財産については、いわば夫婦の一方とは無関係に取得した財産であるため『特有財産』として扱われ、原則として財産分与の対象にはなりません」
仕送りについては、どうだろうか。 「妻としては、婚姻期間中に妻が父から贈与を受けていた、夫とは無関係に取得した財産なのだから『特有財産』にあたると考えるかもしれません。
しかし、月々の生活費の援助という趣旨の仕送りである場合には、夫婦が円満な生活を送れるように贈与されたものとして、実質的には夫婦双方への贈与と判断されることが多いと思います。つまり、財産分与の対象になる可能性が高いということです。
ただ、生活費の援助としては金額が大きく、もはや仕送りとは言えないような場合には、特有財産と判断されやすくなります」
もし、仕送りをもとに車など高額な買い物をしたら、どう考えられるだろうか。
「その仕送りがどのような趣旨で贈られたかどうかで判断されると思われます。前述のとおり、実質的には夫婦双方への贈与であると判断される場合には、その車も共有財産となり、財産分与の対象となるでしょう」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
山本 明生(やまもと・あきお)弁護士
大阪弁護士会所属。交通事故被害(死亡事故、重度後遺障害案件を含む)、相続、離婚など個人をとりまく身近なトラブルを多く扱っている。「話しやすく、分かりやすい弁護士であるべき」との信念に基づき日々活動している。
事務所名:山本・竹川法律事務所
事務所URL:http://www.ytlo-jiko.jp/